アクリル絵の具とは?特徴・使い方・選び方を初心者向けにわかりやすく解説

アクリル絵の具の特徴・使い方・選び方を初心者に解説。水彩や油絵との違い、アクリル絵の具の種類(カラー・ガッシュ)の使い分け、おすすめメーカーの比較まで、これ1記事でわかります。

「アクリル絵の具って名前はよく聞くけど、水彩や油絵と何が違うの?」「子どもと一緒に使いたいけど、難しそう…」そう思っている方、多いですよね。

アクリル絵の具は、初心者でも扱いやすく、表現の幅がとても広いとても魅力的な画材です。水彩画のような薄い表現も、油絵のような重厚な描き方も、1つの絵の具でできてしまいます。

この記事では、アクリル絵の具の基本的な特徴から、水彩・油絵との違い、具体的な使い方のコツ、初心者向けのメーカー選びまでまとめてお伝えします。

📖 この記事でわかること

  • アクリル絵の具の成分・仕組み・歴史
  • 水彩・油絵との違いと5つの特徴(デメリットも正直に解説)
  • アクリルカラーとアクリルガッシュの違いと使い分け
  • 道具の揃え方・水の量・重ね塗りなど基本の使い方
  • メディウムの種類とはじめの1本の選び方
  • リキテックス・ターナーなど主要メーカーの特徴比較
  • よくある失敗(色の変化・落とし方)と対策

アクリル絵の具とは?基本的な特徴と歴史

成分と仕組み ― なぜ乾くと水に溶けなくなるの?

アクリル絵の具は、顔料(色素)・アクリル樹脂エマルジョン(接着剤の役割)・水の3つを主な成分としています。

顔料 とは色の元となる粒子のことです。この顔料をアクリル樹脂が包み込み、水分が蒸発するとアクリル樹脂が固まって丈夫な塗膜になります。

最大のポイントは、乾燥前は水に溶けるのに、乾燥後は耐水性になること。これはアクリル樹脂が硬化するためで、一度乾いた絵の具は水をかけても流れません。だからこそ重ね塗りがしやすく、屋外のアート作品にも使われるんです。

💡 わかりやすく言うと:乾く前は「水彩絵の具」のように水で溶けて、乾いた後は「ゴムのような強い膜」になるイメージです。この二面性がアクリル絵の具の最大の特徴です。

誕生の歴史 ― アクリル絵の具はいつ、どのように生まれたの?

アクリル絵の具の開発が進んだ背景のひとつに、1920年代から1930年代にかけてメキシコで起きた「メキシコ壁画運動」があるとされています。ディエゴ・リベラ、ダビッド・アルファロ・シケイロス、ホセ・クレメンテ・オロスコら「壁画の三巨匠」が公共建築の壁面に大作を描くなかで、屋外の大画面で使えて風化しにくい堅牢な絵の具へのニーズが高まったことが、新しい絵の具の研究を加速させたきっかけのひとつといわれています(画材の森・Artscape より)。

アクリル絵の具は20世紀初頭に溶剤系のものが先に開発されていましたが、より安全で扱いやすい水性タイプの研究が続きました。1955年、アメリカ・オハイオ州シンシナティのパーマネント・ピグメンツ社を率いていたヘンリー・レビソンが世界初の水性アクリルジェッソを完成させ、「リキテックス(Liquitex)」と名付けました(リキテックス公式サイトより)。「リキテックス」という名は「液体(liquid)」と「質感(texture)」を組み合わせた造語です。翌1956年には水性アクリル絵の具(Soft Body)の販売を開始し、1963年にはより粘度の高いHeavy Bodyが加わりました(リキテックス公式サイト・Wikipedia英語版より)。

リキテックスは当時第一線で活躍していた若いアーティストたちに積極的に支持され、60年代以降のアメリカンアートの隆盛とともに世界中に広まりました。1968年には日本でも販売が始まり、以来アクリル絵の具は水彩・油彩と並ぶ3大絵の具のひとつとして広く親しまれています(世界堂・バニーコルアートより)。

アクリル絵の具の5つの特徴|油絵・水彩との違い

アクリル絵の具の魅力を理解するために、まず水彩や油彩との違いを比べてみましょう。

比較ポイント アクリル絵の具 水彩絵の具 油絵の具
希釈剤 テレピン・リンシードなど油
乾燥速度 速い(薄塗りで10〜30分程度) 速い(数分〜) 遅い(数日〜数週間)
乾燥後の耐水性 あり なし(水で溶ける) あり
描ける素材 紙・布・木・石など多様 主に紙 主にキャンバス
独特のにおい ほぼなし ほぼなし 強い
後片付け 水で洗える(乾燥前) 水で洗える 油を使う必要あり

特徴① 乾燥が早い(速乾性)

薄く塗った場合は10〜30分程度で上から描ける状態になり、通常の使用では2〜3時間でほぼ乾燥します。一般的に完全乾燥(塗膜の中心まで完全に固まる)には72時間が目安とされています。

この速乾性のおかげで、重ね塗りをどんどん進められるのが大きなメリット。油絵のように「乾くまで何日も待つ」必要がないので、1日でかなりの作業ができます。

一方、パレットの上でも乾いてしまうのは困りもの。パレットにラップを敷いておくか、保湿性のあるウェットパレットを使うと絵の具が長持ちしますよ。

特徴② さまざまな素材に描ける(多素材対応)

アクリル絵の具は接着力が高く、紙・キャンバス・木板・石・布などに描けます。ただし、素地のままの金属やガラスなど水分を吸わない素材では剥がれやすい場合があります(レモン画翠より)。そういった素材に描きたい場合は、専用のプライマー(下地剤)を使うのがおすすめです。

布に描いてオリジナルTシャツを作ったり、石に絵を描いてインテリアにしたり、キャンバスに本格的な絵を描いたりと、用途の広さがアクリル絵の具の楽しいところです。

特徴③ 水彩風〜油彩風まで表現できる(汎用性)

加える水の量によって、仕上がりのイメージが大きく変わります。

水をたっぷり
💧💧💧
透明・水彩風
水は少しだけ
💧
不透明・油彩風

さらにメディウム(後述)を混ぜることで、光沢のある仕上がりにしたり、テクスチャー(凹凸感)を加えたりと、1種類の絵の具でとても多彩な表現が楽しめます。

特徴④ 耐水性・耐久性が高い

乾燥後の塗膜はゴムのような柔軟性を持ちながら、とても丈夫です。耐光性の高い顔料(ASTM I・IIの評価を受けた顔料)を使用した製品は色あせしにくいのが特長で、リキテックスの公式情報によるとギャラリー環境で50年以上、変色・褪色なく保存できるとされています(リキテックス公式サイトより)。

また、油絵のようにひび割れが起きにくい柔軟な塗膜も特長のひとつです(ただし厚塗りしすぎるとひび割れることも。詳しくは後述します)。屋外アートや立体物への使用にも向いている画材です。

特徴⑤ デメリット・注意点

アクリル絵の具には便利な点がたくさんありますが、知っておきたい注意点もあります。

⚠️ 乾くと色が暗くなる(濡れ色と乾き色の差)
塗ったときより乾いた後の色が少し暗く・くすんで見えることがあります。これは「濡れ色」と「乾き色」の差と呼ばれる、アクリル絵の具の性質上起きることで、欠陥ではありません。慣れてくると調整できるようになりますが、最初はひとつ明るめの色を作るか、白を少し混ぜて補正するのがコツです。

⚠️ パレット・筆・服についたら、乾く前に洗うこと
乾燥前は水で洗い流せますが、一度完全に乾いてしまうと非常に落としにくくなります。作業後はすぐに筆を洗う習慣をつけてください。服についた場合の対処法は後の章で詳しくお伝えします。

⚠️ 寒さに弱い
気温が低い環境(目安として5℃以下)では塗膜が白く濁ったり、固まりにくくなる場合があります。冬場は暖かい室内で使うようにしましょう。

アクリルカラーとアクリルガッシュの違い

アクリル絵の具を選ぼうとすると、「アクリルカラー(アクリル絵の具)」と「アクリルガッシュ」という2種類があって、どちらを選べばいいのか迷いますよね。この2つ、名前は似ていますが仕上がりがかなり違います

透明度と仕上がりの違い

🔵 アクリルカラー(アクリル絵の具)

  • 透明〜半透明な仕上がり
  • 乾くとツヤあり(光沢感)
  • 重ね塗りで深みが出る
  • 色の変化を楽しみやすい
  • 代表:リキテックス Soft Body・Heavy Body

🟢 アクリルガッシュ

  • 不透明・ベタっとした仕上がり
  • 乾くとマット(ツヤなし)
  • 下の色を隠してしっかり塗れる
  • 均一なベタ塗りが得意
  • 代表:ターナー アクリルガッシュ、リキテックス ガッシュ・アクリリック プラス
比較ポイント アクリルカラー アクリルガッシュ
透明度 透明〜半透明 不透明
乾燥後の質感 ツヤあり(半ツヤ) マット(ツヤなし)
重ね塗りの特性 下の色が透けて見える 下の色をしっかり隠せる
向いている表現 油彩風・写実的な絵画 イラスト・ポスター・デザイン画
厚塗り時のひび割れ 起きにくい(柔軟な塗膜) アクリル樹脂が少なく割れやすい傾向あり
耐久性・耐光性 高い アクリルカラーより劣る場合あり

💡 「ガッシュ」って何?:ガッシュ(gouache)はもともとフランス語で不透明水彩技法のことを指します。そこから転じて、不透明な水性絵の具全般をガッシュと呼ぶようになりました。アクリルガッシュは、この不透明性にアクリルの耐水性を組み合わせた絵の具です(世界堂画材情報より)。

用途別の使い分けガイド

どちらを買えばいいか迷ったときは、こんなふうに考えてみてください。

1
🖼️ 絵画・風景画・写実的な作品を描きたいアクリルカラーがおすすめ。重ね塗りで深みを出すことができ、油彩に近い表現ができます。

2
🎨 イラスト・キャラクター絵・ポスターを描きたいアクリルガッシュがおすすめ。ムラになりにくく均一な発色で、平面的なイラストにぴったりです。

3
🤔 とりあえず試してみたい初心者の方アクリルガッシュ(ターナーの入門セットなど)がお手頃で使いやすいのでよいでしょう。失敗しても上から塗りつぶせるので、初心者の練習にも向いています。

アクリル絵の具の基本的な使い方

必要な道具の揃え方

「何を揃えればいいかわからない」という方のために、最初に用意したいものをまとめました。

🛍️ はじめての道具チェックリスト

  • アクリル絵の具(6〜12色のセットから始めると◎)
  • ナイロン製の筆(丸筆・平筆 各1本ずつ)
  • パレット(紙製ディスポーザブルか、ウェットパレット)
  • キャンバスボード または 水彩紙(厚めのもの)
  • 水を入れるカップ(2つあると便利 ―「薄める用」と「筆洗い用」)
  • タオルや古布(筆をぬぐう用)
  • エプロンまたは汚れてもいい服(絵の具は乾くと落ちません!)

筆は、アクリル絵の具に対応したナイロン製を使うのがおすすめです。水彩用の柔らかい筆でも描けますが、アクリル絵の具の粘度に耐えられる丈夫さのあるナイロン筆のほうが長持ちします。

水の量と絵の具の濃さの調整

アクリル絵の具は加える水の量によって仕上がりが変わります。「どのくらい水を足せばいいの?」という疑問は初心者の方に多いので、目安をお伝えします。

水の量の目安 仕上がりの特徴 向いている使い方
絵の具のみ〜ごく少量 ドロっとして厚みが出る 厚塗り・テクスチャー表現
絵の具1:水0.5〜1程度 なめらかに伸びてベタ塗りしやすい 均一塗り・色の重ね
絵の具1:水2〜3程度 透明感が増して水彩風になる 下地・グラデーション
水をたっぷり(ウォッシュ) ほぼ透明な薄い色 水彩風の薄い背景色

💡 知っておきたいコツ:水で薄めすぎると塗膜が弱くなり、剥がれやすくなることがあります。水彩風に使いたい場合はグロスメディウムなどを少量混ぜると、塗膜の強度を保ちながら透明感を出せます。

重ね塗り・グラデーション・ぼかしの技法

アクリル絵の具の重ね塗りには、大きく2つのアプローチがあります。

ウェット・オン・ドライ(乾かしてから重ねる)
下の層が完全に乾いてから次の色を重ねる方法です。色同士が混ざらず、クリアな発色が続きます。アクリル絵の具の速乾性のおかげで短い待ち時間で次の層に進めるのが魅力です。

ウェット・オン・ウェット(乾く前に重ねる)
まだ乾いていない絵の具の上に次の色を置く方法です。色が自然に混ざり合い、やわらかいグラデーションや滲み表現が生まれます。ただし速乾性があるため手早く作業する必要があります。乾燥を遅らせたいときは「リターダー(遅乾剤)」というメディウムを混ぜると時間的な余裕が生まれます。

メディウムの種類と使い方

メディウム とは、絵の具に混ぜることで性質を変えられる添加剤のことです。はじめから揃える必要はありませんが、使うと表現の幅がぐっと広がります。

メディウムの種類 効果 こんな時に使う
グロスメディウム 光沢を出す・透明感を高める ツヤのある仕上げにしたいとき
マットメディウム マット(艶消し)にする 落ち着いた質感にしたいとき
リターダー(遅乾剤) 乾燥を遅らせる ぼかしやグラデーションをしたいとき
モデリングペースト 盛り上げて立体感を作る テクスチャーや立体作品に
ジェッソ(下地剤) 支持体(下地)を整える キャンバスや木板の下地として
バーニッシュ(仕上げニス) 完成作品の保護・コーティング 作品を長く保存したいとき

最初に買うなら、グロスメディウム か マットメディウム の1本からがおすすめです。自分の好みの仕上がりに合わせて選んでみてください。ジェッソは絵の具の発色と定着を良くする白い下地剤で、キャンバスに描く場合は事前に塗っておくと仕上がりが格段に良くなります。完成作品の保護にはバーニッシュを使いましょう。一般的に完全乾燥(72時間後が目安)を確認してから塗るのがポイントです。

初心者向けおすすめアクリル絵の具の選び方

透明度・粘度・容量で選ぶ

絵の具の選び方で迷いやすいのが「チューブ型かボトル型か」という点です。それぞれ特徴が違うので、使い方に合わせて選びましょう。

タイプ 特徴 おすすめの方
チューブ型(小〜中容量)
20ml〜60ml程度
粘度が高め。少量ずつ使いやすい 絵画・細かい描写・少量で試したい方
ボトル型(中〜大容量)
100ml〜
柔らかくて伸びやすい。大面積の塗りに向く 背景色の塗り・DIY・大きな作品を描く方

初心者の方は、まず12色セットのチューブ型から始めると、混色(色を混ぜる)の練習ができておすすめです。最初から色数を増やすより、少ない色でどれだけ作れるかを試す方が上達への近道になりますよ。

主要メーカー別の特徴比較

日本国内で手に入りやすい主要なメーカーを3つ紹介します。どのメーカーも信頼性が高く、画材店や通販で手に入りやすいです。

メーカー 代表製品 特徴 こんな方に
リキテックス
(Liquitex)
Soft Body
Heavy Body
ガッシュ・アクリリック プラス
Basics
1955年設立・1956年に世界初の水性アクリル絵の具(Soft Body)を発売したブランド(リキテックス公式サイト・Wikipedia英語版より)。発色が良く製品ラインが豊富。Soft Bodyはなめらかで使いやすく、Heavy Bodyは粘度高めで厚塗り向き 品質にこだわりたい方・本格的な絵画を目指す方
ターナー色彩 アクリルガッシュ
U-35 アクリリックス
1946年創業の国内大手メーカー(ターナー色彩公式より)。アクリルガッシュのトップブランドで、ムラになりにくく初心者にも扱いやすい。価格帯もリーズナブル イラスト・デザイン・はじめて試してみる方
ホルベイン ヘビーボディアクリリックス
アクリリックガッシュ
日本の老舗画材メーカー。ヘビーボディと呼ばれる粘度の高い絵の具が得意で、厚塗りやインパスト(厚塗りで立体感を出す技法)に向いている 厚塗り・テクスチャーを活かした作品を描きたい方

💡 迷ったらどれを選ぶ?:はじめての方にはターナー アクリルガッシュ の入門セットがコスパよくおすすめです。使いやすく、ムラになりにくいので最初の練習にぴったりです。本格的な絵画を描きたい方はリキテックスのSoft BodyまたはHeavy Bodyもご検討ください。

よくある失敗と解決策

乾くと色が暗くなる問題

アクリル絵の具を使い始めた方が最も多く経験する「あれ?」が、乾いたら思ったより暗くなった・くすんだという色の変化です。これは「濡れ色」と「乾き色」の差と呼ばれるアクリル絵の具の性質上起きることで、欠陥ではありません。水分が蒸発してアクリル樹脂が固まる際に光の反射の仕方が変わることで起きます。

対策としてできることを順にお伝えします。

1
混色時に1〜2トーン明るめの色を作る習慣をつける:乾いたときに少し暗くなることを見越して、少し明るめに調整してから塗ります。

2
白をごく少量混ぜる:白を足すと乾燥後の色が明るくなります。入れすぎると色味が変わるので少量ずつ確認しながら。

3
別の紙で乾き色を先に確認する:少量を別の紙に塗って乾かし、乾き色を確認してから本番の作品に使います。ドライヤーを使う場合は距離を保ちながら、一気に温めすぎないよう注意しましょう(ひび割れや表面のぶつぶつの原因になることがあります)。

パレットや服についた絵の具の落とし方

絵の具がついてしまったとき、乾燥前かどうかで対処方法が変わります。

状況 対処法
乾燥前・服についた すぐに水で洗い流す。石けんを使うとより落ちやすい。
乾燥後・服についた 完全に乾いた絵の具は落とすのがとても難しい。除光液(アセトン入り)やアルコールで軽くたたくと薄くなることがあるが、繊維を傷める可能性も。アクリル絵の具を使う際は汚れてもいい服(エプロン)を着用するのが最善。
プラスチックパレット・乾燥前 水で洗い流す。
プラスチックパレット・乾燥後 水に長時間つけてふやかしてからゆっくり剥がす。シリコン製のヘラが便利。
筆についた(乾燥後) アクリル絵の具用のブラシクリーナーを使う。完全に固まった場合は筆が使えなくなることも。作業中は定期的に水洗いする習慣を。

💡 おすすめの予防策:服には必ずエプロンを着用。パレットはラップを敷くかシリコン製を使うと、乾いた絵の具がペリッと剥がせてラクです。筆は使い終わったらすぐに水で洗い、絶対に絵の具をつけたまま放置しないことが大切です。

よくある質問(Q&A)

アクリル絵の具についてよく検索される質問にお答えします。

❓ アクリル絵の具は子どもでも使えますか?

多くのアクリル絵の具は安全性の高い顔料を使用しており、子どもでも使えます。ただし口に入れるのは避けてください。小学生以上であれば問題なく使えることが多いですが、低年齢のお子さんには水彩絵の具から始めるのが安心です。また、服や床についても困らない環境で使いましょう。絵の具は乾くと落としにくいので、作業前に新聞紙を敷いておくのがおすすめです。

❓ アクリル絵の具は紙に描けますか?水彩紙じゃないとダメ?

普通のコピー用紙にも描けますが、水をたっぷり使うと波打って(紙が反って)しまいます。水彩紙か、キャンバスボードを使うのがおすすめです。水をたっぷり使う場合は300g/m²程度の厚みのある水彩紙を選ぶと波打ちしにくくなります(青葉画荘・画材情報より)。キャンバスボードは100円ショップでも手に入ることがあり、はじめての練習にも使いやすいですよ。

❓ アクリル絵の具と油絵の具は一緒に使えますか?

重ねる順番にルールがあります。「アクリル絵の具で下地を描いてから、その上に油絵の具を重ねる」のはOKです。アクリルの速乾性を活かして下地を早く乾かし、その上から油絵の具で仕上げるというプロも使う技法です。この場合も完全乾燥(72時間が目安)を待ってから油絵の具を使い始めましょう。ただし逆(油絵の具の上からアクリル絵の具)は厳禁です。水性のアクリル絵の具が油性の油絵の具をはじいて定着せず、乾燥後に剥がれ落ちます(絵描き相談室・画材の森より)。なお、2つを直接混ぜることも推奨されません。

❓ アクリル絵の具が乾いてひび割れてしまいました。原因は?

ひび割れの主な原因は一度に厚く塗りすぎることです。表面だけ先に乾いて内部がまだ柔らかい状態で収縮が起き、ひびが入ります。対策は「薄く塗って乾かす」を繰り返すこと。厚みを出したい場合はモデリングペーストやジェルメディウムを混ぜると割れにくくなります。また、アクリルガッシュはアクリルカラーよりアクリル樹脂が少ないためひび割れしやすい傾向があります。ドライヤーで一気に急乾燥させすぎることも、表面のぶつぶつやひび割れの一因になりますのでご注意ください(アートと日常・絵描き相談室より)。

❓ 使い終わった後、絵の具の保存方法は?

チューブの場合はキャップをしっかり閉めて直射日光・高温多湿・凍結を避けて保管しましょう。気温が低い環境(5℃以下が目安)では凍結・劣化する可能性があるため、冬場は特に注意が必要です。パレットに出した絵の具は、乾燥を防ぐためにラップで覆うか、密閉できるウェットパレットを使うと翌日でも使いやすい状態が保てます。なお、余った絵の具はラップをかけて冷蔵庫で保存すると乾燥を防げるという方法もあります。

❓ アクリル絵の具でキャンバスに描く場合、下地(ジェッソ)は必ず必要ですか?

市販のキャンバスにはすでにジェッソが塗られているものがほとんどなので、そちらを使えば追加の下地は不要です。木板や布などに新たに描くときは、ジェッソを1〜2度塗りしてから描くと発色が良くなり絵の具の定着もよくなります。なお、油彩専用に調製されたキャンバスはアクリル絵の具が定着しない場合がありますので、アクリル・油彩両用またはアクリル専用のものを使いましょう(画材の森・油絵ラボより)。

❓ アクリル絵の具で描いた作品はどのくらい長持ちしますか?

耐光性の高い顔料(ASTM I・IIの評価を受けた顔料)を使用した製品であれば、ギャラリー環境(安定した温湿度・間接光)で50年以上、変色・褪色なく保存できるとされています(リキテックス公式サイトより)。ただし直射日光・高温多湿・凍結には弱いのでご注意ください。また蛍光色など一部の顔料はこの限りではありません。完成した作品にはバーニッシュ(保護ニス)を塗ると汚れや紫外線から絵を守れるのでおすすめです。一般的に完全乾燥(72時間後が目安)を確認してから塗るようにしましょう。

まとめ|アクリル絵の具を選んで、さっそく描いてみましょう 🖌️

アクリル絵の具についていろいろお伝えしてきました。最後に大切なポイントを振り返っておきますね。

📝 この記事のまとめ

  • アクリル絵の具は顔料+アクリル樹脂エマルジョンでできた水性絵の具。乾くと耐水性になる
  • 1920〜30年代のメキシコ壁画運動が堅牢な絵の具へのニーズを高め、1955年にリキテックスブランドが設立(ジェッソを製品化)。翌1956年に世界初の水性アクリル絵の具(Soft Body)が発売された
  • 水彩風〜油彩風まで幅広い表現ができ、多素材に描けるのが最大の魅力
  • 「アクリルカラー(透明・ツヤあり)」と「アクリルガッシュ(不透明・マット)」は用途で使い分ける
  • はじめての方はターナー アクリルガッシュの入門セットや、リキテックスのSoft Bodyが扱いやすい
  • メディウムを活用すると表現の幅がさらに広がる。まずはグロスかマットメディウム1本から
  • 乾く前に筆・パレット・服を洗う習慣がトラブル防止の鍵
  • 乾くと少し色が暗くなるのは仕様。ひとつ明るめに作っておくのがコツ
  • 油絵の具との重ね塗りは「アクリルが下・油彩が上」の順番を守ること

アクリル絵の具はとっつきにくそうに見えて、使ってみると「こんなに使いやすいの!?」と感じる方がとても多い画材です。失敗しても上から塗り直しができますし、乾燥が早いのでどんどん描き進められます。

まずは小さなキャンバスボードと入門セットを用意して、気軽に描いてみてください。描くうちに「もっとこんな表現をしてみたい」という気持ちが生まれてきたら、メディウムやさまざまな技法にも挑戦してみてくださいね 🌟