プレジエの魅力と歴史|フランス伝統のいちごケーキを解説

プレジエは、フランスの伝統的ないちごケーキです。春の訪れを告げる季節限定スイーツ、プレジエの魅力と歴史を紹介。

フランスの伝統的なお菓子「プレジエ」についてお話しします。春になると、パリのパティスリーの店頭を彩るこの美しいケーキ、実はとても深い歴史と魅力があるんですよ。

プレジエとは?その魅力と構成

プレジエ(fraisier)は、フランス語で「いちご」を意味する「fraise」から派生した名前です。このケーキは、春の訪れを告げる季節限定の特別なスイーツとして、フランス人に愛されています。

構成は次のようになっています。

  • ビスキュイ(スポンジケーキ)
  • 濃厚なバタークリームとカスタードクリームを合わせたムース
  • たっぷりのフレッシュいちご
  • トップにはいちごやフランボワーズなどのベリー類

見た目も味も春らしさ満点のケーキなんです。食べると、口の中でいちごの甘酸っぱさとクリームのコクが広がり、幸せな気分になれますよ。

プレジエの歴史:フランスといちごの深い関係

実は、現代のいちごの元となった種は南米原産ですが、ヨーロッパにも古くから野生種がありました。18世紀に南米の大粒種がフランスに伝わり、交配が進みました。その立役者の一人が、フランス人軍人技術者のアマデ・フランソワ・フレジエさん。彼が南米から持ち帰り、フランスのブルターニュ地方にある町、プルガステルに移植したんです。

面白いことに、このフレジエさんの名前が、プレジエというケーキの名前の由来になったんじゃないかと言われているんですよ。今でもプルガステルにはいちご博物館があって、観光名所になっているんだとか。フランス人のいちご愛、すごいですよね。

プレジエとフランスの地域性

ブルターニュ地方は、バターや乳製品の名産地としても有名なんです。だから、いちごとバタークリームを組み合わせたプレジエは、まさにフランスの食文化を体現したケーキと言えるかもしれません。

春になると、フランスのマルシェ(市場)には、酸味の効いた小粒のいちごがたくさん並びます。フランス人は普段、いちごよりもフランボワーズ(木苺)のような酸味の強い果物を好む傾向にあるんですが、春先のこのいちごは別格の扱いなんですよ。

日本におけるプレジエの変遷:ショートケーキの誕生

実は、プレジエは日本でも愛されているんです。ただし、少し形を変えて。日本の街のケーキ屋さんで見かけるいわゆる「いちごのショートケーキ」、実はこれ、プレジエがルーツなんじゃないかと言われているんです。

日本で初めていちごのショートケーキを大衆向けに販売したのは、不二家の創設者である藤井林右衛門さんだと言われています。彼はアメリカやヨーロッパでケーキの研修をして、帰国後に「フランス風ショートケーキ」を販売し始めたんです。

おそらく、藤井さんがパリのカフェでプレジエを食べて、「これを日本人好みにアレンジしたら…」と考えたんじゃないでしょうか。そうして生まれたのが、今や日本を代表するスイーツとなった、いちごのショートケーキなんです。

プレジエを楽しむコツ

プレジエを最高に楽しむためのコツ、いくつか紹介しますね。

  1. 季節を選ぶ:春先のいちごが一番美味しいので、3月から5月頃がおすすめです。
  2. 温度に注意:冷蔵庫から出してすぐよりも、少し常温に戻してから食べると、クリームの風味が引き立ちます。
  3. いちごを楽しむ:ケーキ全体の味を楽しんだ後、最後にトップのいちごを食べると、デザートの締めくくりにぴったりです。

プレジエを家で作ってみよう

本格的なプレジエは少し難しいかもしれませんが、簡単なアレンジバージョンなら家でも作れますよ。スポンジケーキに生クリームをはさんで、たっぷりのいちごをのせれば完成です。

ポイントは、いちごを選ぶときに、甘みと酸味のバランスが取れたものを選ぶこと。そして、クリームは生クリームだけでなく、マスカルポーネチーズを混ぜると、本場のプレジエに近い濃厚な味わいになりますよ。

世界に広がるプレジエの魅力

プレジエの魅力は、フランスだけにとどまりません。世界中で愛されているんです。例えば

  • イタリアでは「フラゴリーノ」という名前で親しまれています。
  • アメリカでは「ストロベリー・ショートケーキ」として知られています。
  • 日本では先ほど紹介した「いちごのショートケーキ」として定着しています。

国や文化は違っても、真っ赤ないちごの魅力は世界共通なんですね。それぞれの国で、その土地の味覚に合わせてアレンジされているのも面白いポイントです。

プレジエを通じて感じるフランス菓子の魅力

プレジエは、フランス菓子の魅力を存分に感じられるケーキです。繊細な味わい、美しい見た目、そして季節感。これらすべてが凝縮されているんです。

フランスの菓子職人たちは、プレジエを通じて、自分たちの技術と創造性を存分に発揮します。例えば

  • いちごの配置を工夫して、幾何学的な美しさを表現する
  • クリームの風味を調整して、いちごの味を最大限に引き立てる
  • トップのデコレーションに季節の花をあしらう

こういった細かな工夫の積み重ねが、プレジエをただのケーキ以上の、芸術作品にしているんです。

最後に:プレジエを通じて感じる季節の移ろい

プレジエは、単においしいケーキというだけでなく、季節の移ろいを感じさせてくれる素敵なスイーツです。春になると店頭に並び始め、初夏になると姿を消す。その儚さが、逆に私たちの心を引き付けるのかもしれません。

次に春が訪れたら、ぜひプレジエを探してみてくださいね。きっと、新しい季節の訪れと共に、幸せな気持ちになれると思います。フランスの伝統と日本の四季が織りなす、素敵な出会いを楽しんでくださいね。