生クリームのフランス語での呼び方:種類・特徴・選び方

フランスの生クリームを知り尽くそう!種類や特徴、フランス語での呼び方まで紹介。本場の生クリームの選び方や使い方のコツも

フランス料理やスイーツの世界で欠かせない「生クリーム」についてお話しします。フランスでは、生クリームのことを「クレーム(Crème)」と呼ぶんですよ。私も最初は知らなかったのですが、フランスの生クリームには実にさまざまな種類があって、それぞれ特徴や使い方が違うんです。

フランスの生クリームって、どんなもの?

まず基本的なことから。生クリームは、牛乳から遠心分離機を使って乳脂肪を取り出して作られます。驚くことに、10リットルの牛乳からたった1キロの生クリームしか取れないんですって。考えてみれば、とても贅沢な食材なんですね。

フランスでは、乳脂肪分が30%以上含まれているものを「クレーム」と呼びます。日本の生クリームは35~50%の乳脂肪分が一般的ですが、フランスでは30~35%くらいのものが主流なんです。

ちなみに、生クリームを泡立てるには最低30%の乳脂肪分が必要なんですよ。日本ではケーキの土台にしっかり泡立てた生クリームを使うことが多いですが、フランスではあまりそういう使い方はしないんです。だから、乳脂肪分が日本ほど高くないんですね。

フランスの生クリームの種類と呼び方

フランスの生クリームは、製法や殺菌方法によっていくつかの種類に分かれます。パッケージを見ると、大きく書かれているので分かりやすいですよ。それぞれの特徴を見ていきましょう。

1. クレーム・クリュ(Crème crue)

「クリュ(crue)」は「生の、未加工の」という意味です。熱処理をしていない、まさに生の生クリームですね。液状で、冷蔵庫で6℃に保存しても1週間しか持ちません。だから、スーパーではなくチーズ屋さんなどの専門店で売られていることが多いんです。料理にもスイーツにも使えて、本当にフレッシュな味わいを楽しめます。

2. クレーム・フレッシュ・リキッド / クレーム・フルーレット(Crème Fraîche liquide / Crème fleurette)

フレッシュ(fraîche)」は「新鮮な」という意味です。85~90℃で15~20秒間低温殺菌して、すぐに冷却した生クリームです。サラサラとした液状で、4℃の冷蔵で15日くらい保存できます。「フルーレット(fleurette)」は伝統的な呼び名で、同じ製品を指します。

お菓子作りに使う生クリームは、「クレーム・リキッド(Crème liquide)」で乳脂肪分が30%以上のものが一般的です。ホイップクリームを作るのにぴったりですよ。

3. クレーム・フレッシュ・エペス / クレーム・ドゥーブル(Crème Fraîche épaisse / Crème double)

「エペス(épaisse)」は「濃い」という意味です。これは液状ではなく、なめらかな固形状になっています。熱殺菌して、乳酸菌を加えて熟成させているので、少し酸味があります。「クレーム・ドゥーブル(Crème double)」は特に高脂肪(45%以上)のものを指します。

フランスでは料理に使ったり、フルーツやヨーグルトに添えたりします。固形状なので泡立てには向きません。でも、4℃の冷蔵で30日間も保存できるんですよ。開封後も48時間は大丈夫です。

4. クレーム・リキッド(Crème liquide)

「リキッド(liquide)」は「液状の」という意味で、その名の通り液状の生クリームです。115℃で15~20秒高温殺菌して冷まします。開封前なら、18℃以下の温度で8ヶ月も保存できるんです!

お菓子作りにも使えますが、高温殺菌しているので「クレーム・フレッシュ(生クリーム)」とは呼べないんですよ。完全に生ではないからなんです。

5. クレーム UHT(Crème U.H.T)

「UHT」は「Ultra haute température」の略で、「超高温」という意味です。150℃で2~3秒高温殺菌して、急速に冷やします。これも液状の生クリームです。

高温殺菌しているので、これも「クレーム・フレッシュ(生クリーム)」とは呼べません。18℃以下の環境で4ヶ月保存できるので、便利ですよね。

6. クレーム・ア・フーエッテ(Crème à fouetter)

「フーエッテ(fouetter)」は「泡立てる」という意味です。ホイップクリームを作りやすいように加工された生クリームです。液状で、低脂肪クリームかクリームを75%使用して、他に添加物などを加えています。

脂肪量による呼び名の違い

生クリームは殺菌方法だけでなく、脂肪量によっても呼び名が変わります。パッケージには両方の情報が書いてあるので、好みの生クリームを選ぶときの参考になりますよ。

1. クレーム(Crème)

乳脂肪分が30%以上含まれている生クリームのことを指します。基本的な生クリームですね。

2. クレーム・フレッシュ(Crème fraîche)

搾乳して24時間以内に生のまま、または低温殺菌した生クリームのことです。新鮮そのものですね。フランスでは、特に発酵させた生クリーム(クレーム・フレッシュ・エペス)を指すことが多いです。

3. クレーム・レジェール(Crème légère)

「レジェール(légère)」は「軽い、薄い」という意味で、低脂肪生クリームのことを指します。脂肪分は12~30%と低めです。液状タイプとクリームタイプがあります。

脂肪分が30%以下の生クリームは泡立ちませんので、ホイップクリームを作る場合には適していません。でも、カロリーを気にする人にはいいかもしれませんね。

4. クレーム・シャンティイ(Crème chantilly)

これは製品名ではなく、お菓子の名前です。脂肪分30%以上の生クリームに砂糖を加えて泡立てたクリームのことを言います。名前の由来は、パリ近郊のシャンティイ城です。

砂糖は生クリームの10%の重さが目安で、バニラなどの自然の香料を加えることもあります。デザートの上にのせるあのふわふわのクリームですね!

5. クレーム・ディシニー AOP(Crème d’Isigny AOP)

ノルマンディー地方のイシニー(Isigny)特産の低温殺菌した生クリームです。EUの品質保証制度であるAOP(Appellation d’origine protégée)に指定されているんですよ。

乳脂肪分は35%含まれていて、とろみのついた生クリームです。高級生クリームとして知られています。

フランスの生クリームを使ってみよう!

フランスの生クリームについて知ると、料理やお菓子作りがもっと楽しくなりますよね。例えば、クレーム・フレッシュ・エペスを使えば、本格的なフランス料理の味わいを楽しめます。ポタージュスープにちょっと加えるだけで、コクが出てリッチな味わいになりますよ。

お菓子作りなら、クレーム・リキッドを使ってふわふわのシャンティイクリームを作ってみるのはいかがでしょうか。フルーツタルトの上にのせれば、まるでパリのカフェにいるような気分が味わえますよ。

また、クレーム・レジェールを使えば、カロリーを抑えつつもクリーミーな味わいを楽しめます。サラダドレッシングのベースにしたり、グラタンのソースに使ったりするのもおすすめです。

フランスの生クリームの種類や特徴を知ることで、料理の幅が広がりますし、本場の味わいにぐっと近づけますよ。ぜひ、スーパーやチーズ専門店で探してみてくださいね。きっと新しい発見があるはずです!

最後に、フランスの生クリームを使う際のちょっとしたコツをお伝えします。開封後はなるべく早く使い切るようにしましょう。また、泡立てる際は冷やしておくと、よりふわふわに仕上がりますよ。

フランスの生クリームの世界は奥深くて面白いですね。これを機に、いろいろな種類を試してみてください。きっと、あなたのお気に入りの生クリームが見つかるはずです。料理やスイーツ作りが、もっと楽しくなりますよ!