退職後の住民税はいくら?いつ来る?退職月別の納付方法と払えない場合の対処法

退職後に届く住民税通知書に驚いていませんか?1~4月・5月・6~12月の退職月別納付方法、年収300~600万円の住民税シミュレーション、払えない場合の減免・猶予制度を詳しく解説します。

📖 この記事でわかること
  • 退職後にも住民税の支払いが続く理由(前年所得課税の仕組み)
  • 退職月によって納付方法がどう変わるか(1〜4月・5月・6〜12月の3パターン)
  • 年収別の住民税おおよその目安額と、翌年以降の変化
  • 住民税が払えないときの減免・猶予・分割の具体的な対処法
  • 退職金や失業保険と住民税の関係など、よくある疑問への回答

1. 退職後も住民税が来る理由——前年所得課税の仕組みを図解

退職してしばらくすると、自宅に「住民税の納税通知書」が届いてびっくりした、という方はとても多いです。「もう収入がないのに、どうして?」と感じますよね。これには住民税ならではの仕組みが関係しています。

住民税は「前年の所得に対して翌年に課税される」という制度です。たとえば、2024年(令和6年)に得た収入に対する住民税は、2025年(令和7年)の6月〜翌年5月にかけて支払います。つまり、退職した年の翌年にも、在職中に稼いだ分の住民税がしっかりかかるのです。

⚠️ ポイント:前年所得課税とは?

前年所得課税とは、「昨年(1〜12月)の所得をもとに、今年の税額を計算する」仕組みです。サラリーマンが退職した場合も例外ではなく、退職前に稼いだ収入に基づいて住民税が課されます。所得税とは異なり、住民税には「源泉徴収で自動的に終わり」という概念がない点が特徴です。

📊 住民税は「1年遅れ」でかかる

下のタイムラインを見てみてください。退職後の住民税がいつの分で、いつ払うものなのかが整理できます。

2023年(在職中)
1〜12月の給与所得が確定。この金額が翌年の住民税の計算のもとになります。

2024年3月15日まで
確定申告(会社員は年末調整で代替)。2023年分の所得を申告します。

2024年6月〜2025年5月
2023年の所得に対する住民税を支払う期間。在職中は給与から毎月天引き(特別徴収)、退職後は自分で支払い(普通徴収)になります。

2025年6月〜2026年5月
2024年の所得に対する住民税を支払う期間。退職した年の収入が少なければ、2年目の住民税はぐっと減ることがほとんどです。

このように、住民税には約1年のタイムラグがあります。退職直後に納税通知書が届くのは、退職前に稼いだ所得に対する税金だからです。「退職したのにおかしい」と感じるかもしれませんが、制度上は正しい請求です。

📌 在職中(特別徴収)と退職後(普通徴収)の違い

住民税の納付方法は、在職中と退職後で変わります。

項目 在職中(特別徴収) 退職後(普通徴収)
誰が払うか 会社が給与から天引きして代わりに納付 自分で納付書を使って支払う
支払いの頻度 毎月(年12回) 年4回(6月末・8月末・10月末・翌年1月末)
納付書の送付 なし(会社へ一括送付) 自宅へ送付される
金額の把握 給与明細で確認 納税通知書に記載

特別徴収(とくべつちょうしゅう)とは、会社が従業員の代わりに住民税を毎月の給与から差し引き、市区町村に納める制度です。退職するとこの仕組みが使えなくなるため、自分で直接納付する「普通徴収」に切り替わります

💡 実践アクション

退職が決まったら、勤務先の経理担当者に「退職後の住民税の納付方法について教えてください」と事前に確認しておくと安心です。退職月によって対応が異なるので、次のセクションもあわせて確認してみてください。

2. 退職月別:住民税の納付方法と手続き一覧

退職後の住民税の扱いは、「何月に退職したか」によって大きく変わります。住民税の課税年度は毎年6月〜翌年5月のサイクルで動いているため、退職のタイミングによって3つのパターンに分かれます。

📋 3つのパターンを退職月で判定する

パターン1|1〜4月退職
最後の給与・退職金から強制的に一括徴収
法律(地方税法第321条の5第2項)の規定により、退職月から5月分までの住民税を最後の給与または退職金から一括で天引きすることが義務づけられています。本人の意思にかかわらず一括徴収となります(一括分が給与を上回る場合は不足分のみ普通徴収に切り替わります)。

パターン2|5月退職
通常どおり5月分1ヶ月分のみ天引き
住民税の課税年度は5月で終わります。5月退職の場合は残り1ヶ月分(5月分)を通常どおり最後の給与から天引きするだけで完結します。翌年度(6月以降)の分はありません。

パターン3|6〜12月退職
翌月以降は普通徴収か一括徴収かを本人が選択
退職月の翌月分以降の住民税について、「普通徴収(自分で分割納付)」か「一括徴収(最後の給与・退職金からまとめて天引き)」かを本人が選択できます。多くの方はそのまま普通徴収に切り替わります。

⚠️ よくある誤解に注意!

「1〜5月退職は選択できる」という情報を目にすることがありますが、正確には「1〜4月退職は一括徴収が法律上の原則」で、選択の余地はほとんどありません(給与・退職金が不足する場合のみ普通徴収に切り替わります)。5月退職だけが「1ヶ月分のみ通常徴収」という別パターンになります。退職前に会社の経理担当者にご確認いただくと確実です。

📅 【1〜4月退職】最後の給与から強制一括徴収

1月〜4月の間に退職した場合、地方税法の規定に基づき、退職月から5月分までの住民税残額が最後の給与または退職金からまとめて天引きされます。これは「一括徴収」と呼ばれ、従業員の意思にかかわらず行われるのが原則です。

具体例

2025年3月末に退職した場合、4月・5月分(残り2ヶ月分)の住民税を3月の最終給与からまとめて天引きされます。最後の給与が住民税残額を下回る場合は、退職金から差し引かれます。それでも不足する場合は、その不足分のみ普通徴収に切り替わり、自分で納付することになります。

📅 【5月退職】通常どおり1ヶ月分のみ天引き

5月に退職した場合は、住民税の課税年度の最終月にあたるため、5月分の住民税1ヶ月分を通常どおり最後の給与から天引きするだけで完結します。翌月(6月)からは新しい課税年度が始まりますが、すでに退職しているため、新しい課税年度の税額は普通徴収の通知書として6月以降に届きます。

📅 【6〜12月退職】翌月以降は自分で納付(普通徴収)

6〜12月に退職した場合、退職月の住民税は給与から天引きされますが、翌月分以降の住民税は自分で納付する「普通徴収」に切り替わるのが基本です。これが最もよくあるパターンです。

ただし、会社に申し出れば退職時に一括徴収してもらうこともできます。資金に余裕があり手続きをシンプルにしたい方は一括を、しばらく収入が不安定な方は普通徴収を選ぶとよいでしょう。

具体例

2025年9月末に退職した場合、10月〜翌年5月分(残り8ヶ月分)を普通徴収で自分で納付します。納付書が自宅に届くので、年4回の期限(10月末・翌年1月末・3月末など)までに支払います。

✅ 普通徴収の納期の目安(2025年度の場合)

普通徴収では年4回(第1期〜第4期)に分けて納付します。一括払い(第1期の6月末まで)を選ぶこともできます。

  • 第1期:6月末日
  • 第2期:8月末日
  • 第3期:10月末日
  • 第4期:翌年1月末日

※期限は自治体によって前後する場合があります。納付書に記載された期限を必ず確認してください。

🏢 転職先が決まっている場合:特別徴収の引継ぎ方法

退職後すぐに転職する場合は、住民税の「特別徴収の継続」を選ぶことができます。新しい会社で引き続き給与天引きにしてもらうには、「給与所得者異動届出書」という書類を旧会社が市区町村へ提出し、新会社が引き継ぐ手続きが必要です。

1
退職前に旧会社へ申し出る

「転職先に特別徴収を引き継いでほしい」と旧会社の経理に伝えます。書類の提出期限は退職月の翌月10日までです。

2
旧会社が「給与所得者異動届出書」を市区町村へ提出

旧会社が手続きをします。自分で動く必要は基本的にありません。

3
新会社に届出書(の写し)を渡す

転職者が届出書を新会社の経理担当者に提出することで、新会社が市区町村と調整し天引きを継続してくれます。

4
新会社の給与から天引き開始

スムーズに引継ぎができれば、自分で納付書を使う手間がありません。なお、退職先を転職先に知られたくない場合などは、一度普通徴収にしてから新会社で特別徴収に切り替える方法もあります。

📬 退職後すぐ納付書が届く?届く時期の目安

普通徴収に切り替わった場合、納付書が自宅に届くのは退職後おおよそ1〜2ヶ月後が目安です。市区町村が会社からの「異動届」を受け取り、処理して郵送するまでに時間がかかります。退職が6〜7月以降であれば、新しい課税年度の通知書が8〜10月頃に届くことが多いです。

📬 納付書が届かない場合は?

退職後2ヶ月以上経っても何も届かない場合は、お住まいの市区町村の住民税担当窓口に問い合わせてみましょう。引越しや住所変更が重なっていると届かないこともあります。放置すると滞納扱いになる可能性があるため、早めの確認が大切です。

3. 退職後の住民税はいくら?年収別シミュレーション

「大体いくら来るんだろう?」と不安な方も多いと思います。住民税の金額は前年の所得によって決まるので、退職前の年収を目安に試算してみましょう。

🧮 計算式:所得割+均等割のしくみ

住民税は大きく2つの部分で成り立っています。

種類 計算方法 金額の目安
所得割(しょとくわり) 課税所得 × 10%(道府県民税4%+市区町村民税6%) 所得によって異なる
均等割(きんとうわり)+森林環境税 所得に関わらず一定額 年額5,000円(均等割4,000円+森林環境税1,000円)
🌳 2024年度から「森林環境税」が追加されています

2024年度(令和6年度)から、個人住民税均等割と併せて国税の「森林環境税」(年額1,000円)が徴収されています。同年度に東日本大震災復興のための均等割上乗せ(年1,000円)が終了しているため、均等割の合計額は従来と変わらず年額5,000円(均等割4,000円+森林環境税1,000円)です。均等割が非課税の方は森林環境税も課税されません。

所得割は「課税所得」に10%をかけて計算します。「課税所得」とは、給与収入から給与所得控除・基礎控除(住民税では43万円)・社会保険料控除などを差し引いた後の金額です。控除をしっかり受けると、課税所得は年収よりかなり低くなります。

📐 簡易計算式(あくまで目安)

住民税の概算 =(年収 − 給与所得控除 − 社会保険料控除 − 基礎控除43万円)× 10% + 均等割等5,000円
正確な金額は、確定申告書や給与支払報告書をもとに市区町村が計算します。詳細は総務省の個人住民税ページもご参照ください。

💴 年収別の目安額(300万〜600万円)

以下は、給与所得控除・基礎控除(43万円)・社会保険料控除(協会けんぽ等の標準的な料率をもとに算出)を考慮したおおよその目安額です。扶養家族や医療費控除などがある方はさらに低くなります。

表:年収別・住民税の概算目安(単身・扶養なし・社会保険加入・その他控除なしの場合)
前年の年収 給与所得控除 社会保険料控除(目安) 課税所得(概算) 住民税の概算年額
300万円 98万円 約43万円 約116万円 12万円
400万円 124万円 約57万円 約176万円 18万円
500万円 144万円 約71万円 約242万円 24〜25万円
600万円 164万円 約85万円 約308万円 31万円
※上記は概算です。実際の税額は各種控除・自治体の税率等により異なります。正確な税額は市区町村の窓口またはお手元の納税通知書でご確認ください。社会保険料は協会けんぽ(東京都・40歳未満)の料率を参考に算出しています。

ℹ️ 給与所得控除額は2020年(令和2年)改正後の計算式を使用。年収360万円超660万円以下の場合:年収×20%+44万円。住民税の基礎控除は所得税(48万円)と異なり43万円です。

⚠️ 退職金にかかる住民税は別計算

退職金(退職所得)にかかる住民税は、通常の給与所得とは別に計算されます。退職時に会社が「退職所得の源泉徴収票」を発行し、住民税も含めて特別徴収で処理されるため、多くの場合は自分で申告・納付する手間はありません。退職所得控除(勤続年数が長いほど大きくなる)が適用されるため、税負担は大きく軽減されます。

📉 「2年目から安くなる」は本当か?翌年以降の変化

退職後の住民税が「翌年から大幅に減る」という話はよく聞きますが、基本的に本当です。ただし「いつから安くなるか」の感覚がずれやすいので、下のタイムラインで整理しましょう。

例:2024年9月末退職の場合
2025年6月〜2026年5月
2024年(退職年)の所得に対する住民税を支払う。1〜9月まで働いた給与が対象なので、まだ高め。9月退職なら年収の約3/4程度の所得に基づく税額となります。

2026年6月〜2027年5月
2025年(退職翌年)の所得に対する住民税。収入が大幅に減った(または0だった)場合、住民税は大きく減る。場合によっては非課税になることも。

つまり、退職翌年(例:2025年)に収入がほとんどなければ、その翌年(2026年6月以降)の住民税はとても少なくなる、または0になる可能性があります。ただし、住民税が非課税になる基準は自治体によって異なります。

✅ 住民税が非課税になる目安

住民税の所得割・均等割の両方が非課税になる所得の目安は、多くの自治体で「前年の合計所得金額が45万円以下(単身・扶養なしの場合)」程度です(例:東京23区の場合)。扶養家族がいる場合はこの基準が緩和されます。詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。

4. 住民税を払えないとき——減免・猶予・分割の実践的対処法

退職直後は収入が途絶えているのに、高額の住民税の通知書が届く……。そんなときに「どうしたらいいの?」と途方に暮れてしまう方も多いと思います。住民税には支払いが困難な場合のための救済制度が複数あります。まずは自分がどの制度を使えるか確認してみましょう。

減免制度
税額の一部または全部を免除してもらう
失業・収入激減・災害などの場合に、税額そのものを減らしてもらえる制度。自治体ごとに基準が異なります。

納税猶予
支払いの期限を延ばしてもらう
財産や収入が一時的に不足している場合に、納税期限を延長してもらえる制度。地方税法に基づき自治体に申請します。

分割払い相談
納付書の金額を分けて払う交渉をする
法律上の制度ではありませんが、市区町村の窓口で相談すると分割払いに応じてもらえる場合があります。

督促・滞納対応
放置は厳禁!早めに窓口へ
何も連絡せずに滞納すると、延滞金や財産差し押さえのリスクがあります。連絡するだけでも対応が変わります。

📋 減免制度の利用条件

住民税の減免制度は、各市区町村が独自に設けているため、利用条件は自治体によって異なります。ただし、多くの自治体では以下のような条件が共通しています。

主な対象となるケース 一般的な基準の目安
失業・解雇(非自発的失業) 雇用保険の失業給付受給者など
収入が大幅に減少した場合 前年比で収入が6割以下になった場合など(自治体による)
病気・入院・要介護 一定期間以上の療養・要介護認定
災害・火災 損害が一定額以上の場合
生活困窮 生活保護基準に準じる収入水準など
✅ 実践アクション:減免申請の流れ
1
まず市区町村の窓口(税務課)へ相談

納税通知書が届いたら、早めに担当窓口へ。「退職して収入が減って払えない」と伝えるだけでOKです。

2
必要書類を用意する

離職票・源泉徴収票・収入を証明するもの(通帳など)が必要になることが多いです。自治体によって異なるため、電話で確認してから行くとスムーズです。

3
申請書類を提出

各自治体の「住民税減免申請書」を記入・提出します。申請期限は自治体によって異なるため、早めに動くことが大切です。多くの場合、納期限前に申請する必要があります。

4
審査結果の通知を待つ

通常数週間〜1ヶ月程度で結果が届きます。申請中は窓口に納税を一時猶予してもらえる場合もあります。

⏳ 納税猶予の申請方法

減免の条件に合わない場合でも、「納税の猶予」申請を行うことで納付期限を延長してもらえる場合があります。地方税法第15条等に基づく制度で、以下のような状況に当てはまる場合に認められることがあります。

  • 財産に相当の損失があった場合
  • 病気・負傷により多額の費用がかかっている場合
  • 事業の廃止・廃業があった場合
  • 失業などにより生活が著しく困難な場合

猶予が認められると、最大1年間(状況によって延長も可)、納付期限を延ばすことができます。申請は市区町村税務課の窓口で行います。

🤝 分割払い相談の進め方

法的な制度ではありませんが、実際には市区町村の担当者と話し合い、分割払いに応じてもらえるケースは多くあります。大切なのは「連絡せずに放置しない」ことです。

💬 窓口で使えるひとこと

「現在無職で収入がなく、一括でのお支払いが難しい状況です。分割での納付を相談させていただけますか?」
このようにシンプルに事情を伝えると、担当者が対応策を一緒に考えてくれることがほとんどです。

⚠️ 滞納した場合のリスク

🚨 滞納すると起こること(放置は厳禁!)
  • 延滞金の発生:納付期限の翌日から延滞金が発生します(年2.4〜8.7%程度、適用年度・税額により変動)
  • 督促状の送付:納付期限を過ぎると督促状が届きます(期限から概ね20日前後)
  • 財産の差し押さえ:督促後も支払いがない場合、預貯金・給与・不動産などが差し押さえられることがあります
  • 信用への影響:滞納記録がローン審査などに影響する可能性があります

支払いが難しいときは、必ず「まず窓口に相談する」ことを最優先にしてください。相談するだけで対応が大きく変わることもあります。無料の法律相談(法テラスなど)を活用するのもひとつの方法です。

5. 退職後の住民税に関するよくある質問(Q&A)

Q
退職翌年に二度目の住民税通知書が来たのはなぜですか?

A

これは制度上、正しい請求です。住民税は「前年の所得」に対してかかります。たとえば2024年9月に退職した場合、2025年6月に届く通知書は「2024年1〜9月分の給与所得」に対する住民税です。その翌年(2026年6月)にも通知書が届く場合がありますが、これは「2025年の所得(アルバイト収入など)」に対するものです。

退職後に収入がほぼなかった年については、翌年の住民税が大幅に減るか、非課税になることがほとんどです。二度届いた場合は、それぞれの通知書に記載された「対象年度」を確認してみましょう。

Q
失業保険(雇用保険の基本手当)を受給中でも住民税はかかりますか?

A

失業保険(正式名称:雇用保険の基本手当)は、所得税・住民税の課税対象外です。つまり、失業給付を受け取っていても、その金額に対して住民税はかかりません。

ただし、「退職前に在職中だった年の所得」に対する住民税は、失業給付とは無関係に請求されます。「失業中なのに住民税が来た」という状況は、退職前の所得に対する住民税が普通徴収に切り替わって届いているためです。失業給付を受けているからといって住民税がゼロになるわけではありません。

Q
退職金にも住民税はかかりますか?

A

退職金(退職所得)には、通常の給与とは異なる「退職所得控除」という大きな控除が適用されます。そのため、多くの場合は住民税の負担が大きく抑えられます。

計算の流れはおおよそ次のとおりです。①退職金 − 退職所得控除額 = 退職所得の基礎額、②退職所得の基礎額の2分の1 × 10%(住民税率)= 退職所得にかかる住民税。退職所得控除は勤続年数によって変わります(例:勤続20年以下は「勤続年数×40万円」、20年超は「800万円+(勤続年数−20年)×70万円」)。退職時に会社が手続きを行うため、多くの場合は自分で申告・納付する手間はありません。

Q
確定申告すると住民税の金額は変わりますか?

A

はい、変わる場合があります。確定申告で収入・控除を正確に申告することで、住民税の算出基準(課税所得)が変わるためです。確定申告の情報は税務署から市区町村に通知され、それをもとに住民税が計算されます。

特に退職後の確定申告が大切なケースを挙げると、年の途中で退職して年末調整が受けられなかった場合・医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税)などを申告する場合・副業・フリーランス収入があった場合・住宅ローン控除の初年度などがあります。控除が増えれば住民税も減る可能性があるので、退職した年は確定申告を忘れずに行いましょう(申告期限は翌年2月16日〜3月15日)。

Q
専業主婦(夫)になった場合、住民税はどうなりますか?

A

退職して専業主婦(夫)になった場合でも、退職前の年の収入に対する住民税は翌年に請求されます。ただし、その翌年以降(収入がほぼない年)の住民税は大幅に減るか、非課税になることがほとんどです。

また、配偶者の扶養に入る場合、一定の所得要件(合計所得金額48万円以下など)を満たせば「配偶者控除」の対象となり、配偶者の所得税・住民税が減る可能性があります。勤務先の年末調整や確定申告で忘れずに申告してください。

Q
住民税の納付書を紛失してしまいました。どうすればいいですか?

A

納付書を紛失しても、市区町村の税務課窓口に問い合わせると再発行してもらえます。身分証明書(マイナンバーカードや運転免許証など)を持参して窓口に行くか、電話で再発行の依頼をしましょう。

「納付書がないから払えない」と放置するのは厳禁です。期限が過ぎると延滞金が発生します。早めに窓口に連絡することをおすすめします。多くの自治体ではコンビニ払いやスマートフォン決済にも対応していますので、再発行後はさまざまな方法で納付できます。

Q
退職後に引越しをした場合、住民税はどこに払えばよいですか?

A

住民税は、その年の1月1日時点に住んでいた市区町村に納付します。たとえば、2025年4月に引越しした場合、2025年度(2024年の所得に対する)の住民税は、2025年1月1日時点の住所のある市区町村に支払います。

引越し後は住所変更の手続き(転出届・転入届)を新旧の市区町村で速やかに行いましょう。住民票の手続きをすれば税務情報も引き継がれます。転居後に旧住所宛の納付書が届かなくなる場合は、旧市区町村の税務課に確認してみてください。

6. 退職後に必要な手続きのチェックリスト

住民税の手続き以外にも、退職後にはさまざまな手続きが必要です。以下のチェックリストを参考に、やるべきことを整理してみてください。

💰 税金関連
  • 住民税の納付方法の確認(一括 or 普通徴収)
  • 退職年の確定申告(翌年2〜3月)
  • 退職所得の源泉徴収票の受け取り
  • 住民税減免・猶予の申請(必要な場合)
🏥 社会保険関連
  • 健康保険の切り替え(国保 or 任意継続)
  • 国民年金への切り替え手続き
  • 雇用保険(失業給付)の申請
  • 扶養に入る場合は配偶者の職場へ届出
📄 書類・手続き関連
  • 離職票・源泉徴収票の受け取り
  • 雇用保険被保険者証の受け取り
  • 健康保険証の返却・新保険証の取得
  • 住所変更がある場合は住民票の異動
📅 期限管理
  • 国民健康保険:退職日の翌日から14日以内
  • 国民年金:退職日の翌日から14日以内
  • 失業給付申請:離職後なるべく早めに
  • 住民税減免申請:各自治体の納期限前に

💡 健康保険の切り替えで迷ったときは

退職後の健康保険は「国民健康保険」と「任意継続(在職中の健康保険を最大2年間継続)」のどちらかを選べます。どちらが保険料として安くなるかは前の年収や加入している健保組合によって変わります。自治体の国保担当窓口と、旧会社の健康保険組合の両方に保険料を確認してから選ぶのがおすすめです。

📝 まとめ:退職後の住民税で押さえておくべきこと

  • 住民税は「前年の所得」に課税されるため、退職後も当面は支払いが続く
  • 1〜4月退職は一括徴収が原則、5月退職は1ヶ月分のみ、6〜12月退職は普通徴収が基本
  • 均等割+森林環境税で年額5,000円、所得割は課税所得の10%が加算される
  • 退職翌年以降に収入が大幅に減れば、住民税も大きく下がる(場合によっては非課税に)
  • 払えない場合は「減免」「猶予」「分割相談」の制度を活用し、必ず窓口に相談する
  • 滞納は絶対に放置しない——早めの相談が最善の対処法
  • 退職した年は確定申告をしっかり行うことで、翌年の住民税が軽減される可能性がある

📂 参考リンク

🔗 総務省:個人住民税(所得割・均等割)
🔗 国税庁:退職金と税金
🔗 ハローワーク:雇用保険の手続き

税制は変更される場合がありますので、最新の情報は各市区町村や国税庁・総務省の公式サイトでご確認ください。