自己都合退職でも国民健康保険料の免除・軽減を受ける方法|失業後の条件と手続き

自己都合退職でも国民健康保険料の免除・軽減が受けられます。失業後の離職理由コード33に該当すれば年間10万円以上の軽減も。病気、介護、ハラスメントなど正当な理由のある自己都合退職の条件と手続き方法を解説します。

会社を辞めたあと、国民健康保険に加入したら前年の収入をもとに計算された高額な保険料を請求されて驚いた経験はありませんか。特に自己都合で退職した場合、「失業中なのに年間30万円以上も払えない」と困っている方も多いと思います。

多くの方が「自己都合退職だから何も優遇措置はない」と諦めていますが、正当な理由のある自己都合退職であれば、国民健康保険料の軽減制度を利用できるんです。病気やハラスメント、家族の介護などで退職した場合、離職理由コード33に該当すれば、保険料が大幅に安くなる可能性があります。

この記事でわかること

  • 自己都合退職でも国民健康保険料の軽減を受けられる条件
  • 離職理由コード33・34に該当する具体的なケース
  • 軽減制度を利用した場合の保険料シミュレーション
  • ハローワークと市区町村での申請手続きの流れ
  • 申請時の必要書類と注意点
  • 軽減制度が使えない場合の代替策

自己都合退職でも国保の軽減を受けられる人がいる【結論】

まず最初に大切なポイントをお伝えしますね。自己都合退職であっても、条件を満たせば国民健康保険料の軽減制度を利用できます。「自分には関係ない」と思い込んでいる方も多いのですが、意外と該当する方は少なくありません。

「正当な理由のある自己都合退職」なら軽減対象

雇用保険の制度では、離職理由を細かく分類していて、自己都合退職の中にも「正当な理由のある自己都合退職」というカテゴリーがあります。これは雇用保険受給資格者証に記載される離職理由コード33または34に該当する場合です。

この離職理由コード33・34に該当すると、「特定理由離職者」として扱われ、会社都合退職(特定受給資格者)と同じように国民健康保険料の軽減を受けることができます。つまり、形式上は自己都合退職でも、やむを得ない事情があれば優遇措置があるということなんです。

離職理由コード33・34が該当する具体例

離職理由コード33に該当する「正当な理由」には、次のようなケースがあります。

  • 病気や怪我、障害で働き続けることが難しくなった場合
  • 家族の介護や看護が必要になった場合
  • 妊娠・出産・育児で就業が困難になった場合
  • 配偶者の転勤や転居に伴い通勤が不可能になった場合
  • 交通機関の廃止などで通勤が著しく困難になった場合
  • セクハラやパワハラを受けた場合
  • 賃金の未払いや大幅な賃金低下があった場合

これらのケースは、労働者側に非はなく、むしろ働き続けたくても続けられない事情があったと認められるため、特別な扱いを受けられるんです。

軽減後の保険料はどれくらい下がる?

軽減制度を利用すると、前年の給与所得を30%とみなして保険料を再計算してもらえます。

例えば前年の年収が400万円だった場合、給与所得は約276万円ですが、これを30%の約83万円として計算されるため、年間10万円〜18万円程度保険料が安くなることも珍しくありません。

給与所得の計算例(年収400万円の場合)
年収400万円の給与所得控除 = 400万円 × 20% + 44万円 = 124万円
給与所得 = 年収400万円 – 給与所得控除124万円 = 276万円
軽減後の給与所得 = 276万円 × 30% = 82.8万円(約83万円)

具体的な金額は世帯構成や自治体の保険料率によって変わりますが、多くの方にとって大きな負担軽減になるはずです。失業中で収入がない状態で年間30万円の保険料を払うのと、15万円で済むのでは大違いですよね。

国民健康保険料の軽減制度とは?失業者向けの優遇措置を解説

ここからは、国民健康保険料の軽減制度について、もう少し詳しく説明していきますね。この制度は非自発的失業者に対する保険料軽減制度と呼ばれています。

非自発的失業者に対する軽減制度の概要

この制度は、リーマンショック後の2010年4月に導入されました。失業して収入がなくなったのに、前年の収入をもとに高額な保険料を請求されることへの配慮として作られた制度です。

対象となるのは、雇用保険の「特定受給資格者」(倒産・解雇などの会社都合退職)と「特定理由離職者」(正当な理由のある自己都合退職など)です。どちらも非自発的な理由で離職した方という共通点があります。

制度の目的

失業中の生活を支援し、必要な医療を受けられるようにすることで、再就職活動をしやすくする環境を整えることが目的です。国民皆保険制度を維持するための重要な仕組みなんですね。

給与所得を30%とみなす計算方法

軽減制度の具体的な計算方法ですが、前年の給与所得を実際の30%とみなして保険料を再計算します。注意していただきたいのは、給与所得だけが対象という点です。

給与所得以外の所得、例えば不動産所得や事業所得、年金所得などは通常通り計算されます。サラリーマンとして働いていた方の場合、ほとんどが給与所得だけなので、大きな軽減効果が期待できるということですね。

計算式を簡単に示すと次のようになります。

軽減後の給与所得 = 前年の給与所得 × 30%
保険料 = (軽減後の給与所得 + その他の所得) × 保険料率

例えば前年の給与所得が300万円で、不動産所得が50万円ある場合、給与所得は90万円(300万円×30%)として計算され、不動産所得50万円と合わせて140万円が保険料算定の基礎になります。

軽減期間は離職日翌日から翌年度末まで

軽減が適用される期間は、離職日の翌日が属する年度とその翌年度末までです。年度は4月1日から翌年3月31日までを指します。

具体例を挙げますね。

  • 2025年10月31日に離職した場合、離職日の翌日である2025年11月1日が属する年度は2025年度(2025年4月1日〜2026年3月31日)。その翌年度は2026年度(2026年4月1日〜2027年3月31日)なので、2027年3月31日までが軽減期間
  • 2026年3月31日に離職した場合、離職日の翌日である2026年4月1日が属する年度は2026年度。その翌年度は2027年度なので、2028年3月31日までが軽減期間

離職のタイミングによって軽減期間の実質的な長さは変わりますが、制度上は年度単位で設定されているんです。また、軽減期間中に再就職して社会保険に加入した場合は、国民健康保険から脱退するため、その時点で軽減も終了します。

重要なポイント

この軽減制度は、均等割や平等割の軽減判定にも適用されます。つまり、所得が低い世帯に対する7割・5割・2割軽減の判定時にも、給与所得を30%として計算してもらえるため、二重に軽減効果が得られることもあるんです。

自己都合退職で軽減を受けられる条件【4つすべて必須】

軽減制度を利用するには、次の4つの条件をすべて満たす必要があります。一つでも欠けると対象外になってしまうので、ご自身の状況を確認してみてくださいね。

① 離職時の年齢が65歳未満

まず一つ目は、離職した日時点で65歳未満であることです。65歳以上の方は「高年齢受給資格者」として別の扱いになり、この軽減制度の対象外となります。

誕生日が来て65歳になる直前に退職した場合は対象ですが、65歳の誕生日を迎えた後に退職した場合は対象外です。年齢による区切りは厳格に適用されますので注意が必要です。

65歳の判定について

法律上、年齢は誕生日の前日に加算されます。つまり、65歳の誕生日の前日までに離職すれば64歳として扱われ、軽減対象になります。誕生日当日以降の離職は65歳とみなされ、対象外となります。

② 雇用保険受給資格者証を持っている

二つ目は、雇用保険の受給資格者証または雇用保険受給資格通知を持っていることです。これはハローワークで失業給付の手続きをすると交付される書類ですね。

雇用保険に加入していなかった方や、失業給付の手続きをしていない方は、この書類を持っていないため軽減制度を利用できません。また、失業給付を実際に受給しなくても、受給資格者証を取得していれば軽減対象になります。

手順受給資格者証の取得方法

退職時に会社から受け取った離職票をハローワークに提出し、求職の申し込みをすると、雇用保険受給資格者証(または受給資格通知)が交付されます。この書類に離職理由コードが記載されているので、必ず確認しましょう。

③ 離職理由コードが23、33、34のいずれか

三つ目の条件が最も重要です。雇用保険受給資格者証に記載された離職理由コードが23、33、34のいずれかである必要があります。

離職理由コードは雇用保険受給資格者証の「離職理由」欄に2桁の数字で記載されています。この番号によって、特定受給資格者(会社都合)なのか、特定理由離職者(正当な理由のある自己都合)なのか、一般の離職者なのかが判断されます。

  • コード23:特定理由離職者(期間満了による離職で、雇用期間3年未満で契約更新が明示されていない場合など)
  • コード33:特定理由離職者(正当な理由のある自己都合退職)
  • コード34:特定理由離職者(正当な理由のある自己都合退職で、被保険者期間が12ヶ月未満の場合)※現在はほとんど使われていません

このうち、自己都合退職で該当する可能性が高いのは主にコード33です。

④ 国民健康保険に加入している

四つ目は、国民健康保険の被保険者であることです。当然といえば当然ですが、他の健康保険に加入している方は対象外です。

退職後に家族の社会保険の扶養に入った場合や、任意継続を選択した場合は国民健康保険に加入していないため、この軽減制度は利用できません。また、再就職して社会保険に加入した時点で国民健康保険を脱退するため、軽減も終了します。

任意継続との比較

退職後は「任意継続」か「国民健康保険」のどちらに加入するか選択できます。軽減制度を利用できる場合、多くのケースで国民健康保険の方が安くなりますが、扶養家族が多い場合は任意継続の方が有利なこともあります。両方の保険料を比較して判断することをおすすめします。

離職理由コード33・34とは?該当する具体例

ここからは、自己都合退職で最も重要な離職理由コード33について、具体的にどのようなケースが該当するのか詳しく見ていきましょう。

コード33「正当な理由のある自己都合退職」の具体例

離職理由コード33は、形式上は自己都合退職ですが、労働者側に正当な理由がある退職として認められるケースです。ハローワークで離職票を提出する際、証明書類などを添えて説明すると、コード33として認定される可能性があります。

①病気・怪我・障害による退職

心身の障害や疾病、負傷などにより退職した場合が該当します。

  • うつ病や適応障害などの精神疾患で就業継続が困難になった
  • 腰痛や腱鞘炎などで業務遂行ができなくなった
  • 視力低下や聴力障害など身体的な理由で仕事を続けられなくなった

医師の診断書や意見書があると、ハローワークでの認定がスムーズです。ただし、軽度の体調不良程度では認められないこともあるので注意が必要ですね。

②家族の介護・看護

父母、配偶者、子、配偶者の父母などの扶養親族の介護や看護のために退職した場合です。

  • 親が要介護状態になり、自分が介護する必要が生じた
  • 子どもが病気になり、長期的な看護が必要になった
  • 配偶者の介護のため、仕事と両立できなくなった

要介護認定書や医師の診断書などの証明書類があると良いでしょう。介護離職は社会問題にもなっていて、ハローワークでも比較的認定されやすいケースです。

③妊娠・出産・育児による退職

妊娠、出産、育児により就業が困難になった場合も該当します。

  • 妊娠中の体調不良で業務継続が難しくなった
  • 出産後、保育所が見つからず職場復帰できなかった
  • 育児と仕事の両立が困難で退職せざるを得なかった

母子手帳や保育所の入所不承諾通知などが証明書類になります。育児休業制度がない会社や、制度はあっても取得できない環境だった場合も考慮されることがあります。

④配偶者の転勤・転居

配偶者の転勤や転居に伴い、通勤が不可能または困難になった場合です。

  • 配偶者が転勤になり、遠方に引っ越す必要が生じた
  • 配偶者の転職に伴い、別の地域に移住することになった

配偶者の転勤辞令や転居を証明する書類(住民票の移動記録など)が必要になることがあります。単身赴任という選択肢もあるため、やむを得ない事情であることを説明できると良いですね。

⑤通勤困難

通勤が困難になった場合も正当な理由として認められます。

  • 利用していた交通機関(電車、バスなど)が廃止された
  • 会社が移転して、通勤時間が片道2時間以上になった
  • 勤務場所が変更され、著しく遠くなった

交通機関の廃止を証明する資料や、通勤経路と所要時間を示す資料があると認定されやすいです。「通勤が大変だから」という理由だけでは認められず、客観的に見て通勤継続が困難と判断される必要があります。

⑥セクシュアルハラスメント・パワーハラスメント

事業主が職場におけるセクハラやパワハラの事実を把握していながら適切な対応をせず、退職した場合が該当します。

  • 上司からのパワハラを会社に相談したが、改善されなかった
  • セクハラ被害を受け、会社に報告したが対応してもらえなかった
  • 同僚からのいじめや嫌がらせで精神的に追い詰められた

相談記録やメール、録音データなど、ハラスメントの事実と会社への相談・対応を求めたことを証明できる資料があると良いでしょう。ハラスメントは証明が難しいケースもありますが、記録を残しておくことが重要です。

⑦賃金未払い・大幅な賃金低下

賃金が支払期日までに支払われなかったり、賃金が大幅に低下した場合です。

  • 給料の支払いが数ヶ月滞っていた
  • 合意なく給料が15%以上カットされた
  • 残業代が支払われていなかった

給与明細や雇用契約書、労働条件通知書などが証明書類になります。賃金未払いは労働基準法違反でもあるため、労働基準監督署への相談記録があるとさらに良いですね。

証明書類の重要性

これらのケースでコード33として認定されるには、客観的な証明書類が重要です。口頭での説明だけでは認められないこともあるので、診断書、通知書、相談記録などを準備してハローワークに行くことをおすすめします。

コード34の違い(被保険者期間12ヶ月未満)

離職理由コード34は、コード33と同じく正当な理由のある自己都合退職ですが、雇用保険の被保険者期間が6ヶ月以上12ヶ月未満の場合に使用されるコードでした。

ただし、現在の雇用保険制度では、コード34が使われることはほとんどありません。平成29年(2017年)3月31日までの暫定措置として設けられていたコードで、現在は基本的にコード33に統合されている状況なんです。

該当しない自己都合退職(コード40、45)との違い

ここまで説明してきたコード33とは異なり、一般的な自己都合退職はコード40または45として分類されます。これらのコードでは国民健康保険料の軽減制度は利用できません。

  • コード40:被保険者期間12ヶ月以上の一般的な自己都合退職
  • コード45:被保険者期間12ヶ月未満の一般的な自己都合退職

例えば次のようなケースは、コード40や45になる可能性が高いです。

  • 転職のためのキャリアアップを目指して退職
  • 人間関係が合わないという理由での退職(ハラスメントには該当しない程度)
  • 仕事内容が自分に合わないと感じて退職
  • 給料に不満があって退職(賃金低下には該当しない程度)

これらは労働者の都合による退職と判断されるため、正当な理由とは認められません。ただし、退職理由の判断はハローワークが行うため、グレーゾーンのケースでは相談してみる価値はありますよ。

【年収別】国保料の軽減額シミュレーション

ここからは、軽減制度を利用すると実際にどれくらい保険料が安くなるのか、具体的な例で見ていきましょう。自治体によって保険料率が異なるため、あくまで目安としてご覧くださいね。

前年年収350万円・単身世帯のケース

前年の年収が350万円で、給与所得が209万円の単身世帯の場合を計算してみます。(東京23区の保険料率で試算)

給与所得の計算
年収350万円の場合の給与所得控除 = 350万円 × 30% + 8万円 = 113万円
給与所得 = 年収350万円 – 給与所得控除113万円 = 237万円
※ただし、実際の給与所得は端数処理等により209万円程度になることがあります
項目 軽減前 軽減後
給与所得 209万円 63万円(209万円×30%)
医療分保険料 約16万円 約8万円
支援金分保険料 約5万円 約2万円
介護分保険料(40歳以上) 約4万円 約2万円
年間合計 約25万円 約12万円

年間で約13万円の軽減になります。月額にすると1万円以上の違いですから、失業中の生活にとって大きな助けになりますよね。

前年年収500万円・3人世帯のケース

前年の年収が500万円で、給与所得が346万円、配偶者と子ども1人の3人世帯の場合です。

給与所得の計算
年収500万円の場合の給与所得控除 = 500万円 × 20% + 44万円 = 144万円
給与所得 = 年収500万円 – 給与所得控除144万円 = 356万円
※ただし、実際の給与所得は端数処理等により346万円程度になることがあります
項目 軽減前 軽減後
給与所得 346万円 104万円(346万円×30%)
医療分保険料 約28万円 約14万円
支援金分保険料 約9万円 約5万円
介護分保険料(40歳以上) 約6万円 約3万円
年間合計 約43万円 約22万円

年間で約21万円の軽減です。世帯人数が多いほど均等割の負担も大きいため、軽減額も大きくなる傾向がありますね。

軽減されない場合の条件(給与所得43万円以下など)

ただし、次のようなケースでは軽減の効果がない、または少ない場合があります。

軽減効果が少ないケース

  • もともと給与所得が43万円以下の場合:軽減後も43万円以下なので変化なし
  • 賦課限度額に達している場合:すでに上限額を払っているため、所得が下がっても保険料は変わらない(2026年度の限度額は医療分66万円+支援金分26万円+介護分17万円=合計109万円)
  • 給与所得以外の所得が多い場合:不動産所得や年金所得は軽減対象外のため、効果が限定的

また、自治体によっては低所得世帯に対する均等割・平等割の軽減(7割・5割・2割軽減)がすでに適用されている場合、給与所得30%計算によってさらに軽減割合が上がることもあります。この場合は二重の恩恵を受けられるということですね。

国保軽減の申請方法と必要書類【手続きの流れ】

ここからは、実際に軽減制度を利用するための手続き方法を説明します。申請しないと自動的には適用されないので、必ず手続きをする必要がありますよ。

ステップ1:ハローワークで雇用保険受給資格者証を取得

1離職票を持ってハローワークへ

退職後、会社から離職票(雇用保険被保険者離職票1・2)が送られてきたら、住所地を管轄するハローワークに持参します。

ハローワークでは次の手続きを行います。

  • 求職の申し込み(求職申込書の記入)
  • 離職票の提出
  • 雇用保険の受給資格決定

この際、離職理由について確認されます。正当な理由のある自己都合退職の場合は、証明書類を持参すると良いでしょう。診断書、介護認定書、ハラスメントの相談記録など、退職理由を裏付ける書類があれば、離職理由コード33として認定される可能性が高まります。

受給資格が決定されると、後日「雇用保険受給資格者証」または「雇用保険受給資格通知」が交付されます。この書類に離職理由コードが記載されているので、必ず確認してください。

離職理由に納得できない場合

ハローワークから通知された離職理由コードが希望と違う場合(例えばコード40と判定されたが、本当はコード33に該当すると思う場合)、異議申し立てをすることができます。追加の証明書類を提出するなどして、再審査を求めることも可能です。

ステップ2:市区町村窓口で軽減申請

2雇用保険受給資格者証を持って市区町村へ

ハローワークで受給資格者証を受け取ったら、お住まいの市区町村の国民健康保険窓口に行きます。

窓口では「特例対象被保険者等該当届出書」などの申請書類を記入します。(自治体によって書類の名称は異なります)

国民健康保険の加入手続きと同時に軽減申請を行うのが一般的です。すでに国保に加入済みの方は、軽減申請のみを行います。

必要書類一覧

市区町村窓口での申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 雇用保険受給資格者証または雇用保険受給資格通知(離職理由コード23、33、34が記載されているもの)
  • マイナンバーカードまたは通知カード+身分証明書
  • 国民健康保険被保険者証(すでに加入している場合)
  • 印鑑(認印で可、自治体によっては不要)

雇用保険受給資格者証は原本の提示が必要ですが、コピーを提出する自治体もあります。窓口で確認しながら手続きを進められるので、心配な方は事前に電話で確認しておくと安心ですね。

申請期限と遡及適用の可否

国民健康保険への加入は、退職日の翌日から14日以内に届け出ることが義務付けられています。軽減申請も同時に行うのが理想的です。

ただし、14日を過ぎてしまった場合でも、遡って加入することはできます。その際、軽減申請も同時に行えば、加入時に遡って軽減が適用される自治体が多いです。

遡及適用について

多くの自治体では、申請が遅れても離職時まで遡って軽減を適用してくれます。ただし、すでに納付済みの保険料がある場合、差額の還付手続きが必要になることがあります。また、あまりに遅れると遡及できない場合もあるため、気づいたらすぐに申請することが大切です。

一部の自治体では電子申請やオンライン申請に対応しているところもあります。マイナポータルを通じて手続きできる場合もあるので、お住まいの自治体のホームページで確認してみてくださいね。

自己都合退職で軽減を受ける際の注意点

軽減制度を利用する際に知っておくべき注意点をまとめました。思わぬ落とし穴にはまらないよう、しっかり確認しておきましょう。

給与所得のみが軽減対象(不動産所得等は対象外)

この制度で30%計算が適用されるのは給与所得のみです。その他の所得は通常通り計算されます。

  • 対象:給与所得
  • 対象外:事業所得、不動産所得、年金所得、配当所得、譲渡所得など

例えば、サラリーマンをしながらアパート経営をしていた方の場合、給与所得は30%計算されますが、不動産所得は100%で計算されます。

計算例

前年の給与所得300万円、不動産所得100万円の場合
軽減後の所得 = 90万円(給与所得300万円×30%)+ 100万円(不動産所得)= 190万円

年金所得がある方も同様で、給与所得部分だけが軽減対象になるので注意が必要です。

申請しないと自動適用されない

この軽減制度は申請主義です。つまり、条件を満たしていても、自分で申請しない限り適用されません

自治体の窓口で国民健康保険の加入手続きをしただけでは、軽減は適用されないんです。必ず雇用保険受給資格者証を提示して、軽減申請を行う必要があります。

知らずに申請しないまま高額な保険料を払い続けている方も少なくありません。条件に該当する方は、必ず申請してくださいね。

再就職して国保を脱退すると軽減終了

再就職して新しい会社の社会保険(健康保険)に加入した場合、国民健康保険から脱退することになります。当然ですが、国保を脱退すると軽減制度も終了します。

また、再就職で新たに雇用保険の被保険者となり、その後また離職して雇用保険の受給資格が発生した場合、以前の離職に基づく軽減制度は適用されません。新しい離職理由コードに基づいて、改めて軽減が受けられるかどうかが判断されます。

パートやアルバイトで働き始めて、社会保険に加入しない範囲で働く場合は、国保に加入したままなので軽減は継続されます。ただし、給与収入が発生すると翌年度の保険料計算に影響するので、その点は理解しておきましょう。

特例受給資格者・高年齢受給資格者は対象外

雇用保険の受給資格者の中でも、次の方は軽減制度の対象外です。

  • 特例受給資格者:季節的に雇用される方(スキー場のシーズンスタッフなど)
  • 高年齢受給資格者:離職時に65歳以上だった方
  • 日雇受給資格者:日雇労働被保険者だった方

これらの方は、離職理由コードが23、33、34であっても、国民健康保険料の軽減制度は利用できません。特に65歳以上の方は、年齢要件で対象外となるので注意が必要です。

65歳前後で退職する方へ

誕生日の前日に退職するか、誕生日を過ぎてから退職するかで、軽減制度が使えるかどうかが変わります。もし可能であれば、65歳の誕生日前に退職することで軽減制度を利用できる可能性があります。

軽減制度が使えない場合の他の減免制度

離職理由コードが40や45で、今回説明した軽減制度が使えない場合でも、他の減免制度が利用できる可能性があります。諦めずに確認してみてくださいね。

所得減少による減免(前年比25%以上減少)

前年と比べて所得が大幅に減少した場合、所得減少による減免制度が利用できる自治体があります。

一般的な基準は次のようなものです。

  • 前年の所得と比べて、今年の所得が25%以上減少する見込み
  • 失業や廃業、病気療養などの理由がある
  • 貯蓄や資産の状況も考慮される

自治体によって基準や減免率が異なりますが、多くの場合、所得減少割合に応じて保険料の2割〜7割程度が減免されます。

例えば、前年の所得が400万円で、今年は失業により所得が100万円になる見込みの場合、75%の減少なので減免の対象になる可能性が高いです。市区町村の窓口に相談してみましょう。

低所得世帯の均等割・平等割軽減(7割・5割・2割)

所得が一定基準以下の世帯に対しては、均等割と平等割の軽減制度があります。これは自動的に適用されるもので、申請は不要です。

2026年度の軽減基準(目安)は以下の通りです。

軽減割合 所得基準(世帯全員の合計所得)
7割軽減 43万円+10万円×(給与所得者等の数-1)以下
5割軽減 43万円+29.5万円×被保険者数+10万円×(給与所得者等の数-1)以下
2割軽減 43万円+54.5万円×被保険者数+10万円×(給与所得者等の数-1)以下

例えば単身世帯で給与所得者1人の場合、合計所得が43万円以下なら7割軽減、43万円超〜72.5万円以下なら5割軽減、72.5万円超〜97.5万円以下なら2割軽減となります。

失業して収入がなくなった場合、前年の所得ではなく今年の所得が基準になることもあるので、窓口で相談してみる価値はありますよ。

災害・傷病による特別減免

自然災害で被災した場合や、世帯主が重い病気や怪我をした場合など、特別な事情がある世帯に対する減免制度もあります。

  • 震災、風水害、火災などで住宅や家財に損害を受けた
  • 世帯主が死亡、重度の障害、長期入院などの状態になった
  • 事業の休廃止や失業で著しく所得が減少した

減免の内容や基準は自治体によって大きく異なります。該当する可能性がある方は、お住まいの自治体の国保担当窓口に相談してみてください。

分割納付・納付猶予の相談

減免制度が利用できない場合でも、保険料の支払いが困難な場合は必ず自治体に相談しましょう。

相談することで次のような対応をしてもらえる可能性があります。

  • 分割納付:月々の支払額を減らして、長期間で支払う
  • 納付猶予:一定期間、支払いを待ってもらう
  • 納付計画の見直し:収入状況に合わせた無理のない計画を立てる

保険料を滞納すると、督促状が届いたり、最悪の場合は保険証が使えなくなる(短期証や資格証明書の交付)こともあります。滞納する前に、早めに相談することが大切ですね。

相談窓口の活用

国民健康保険の窓口は、保険料の徴収だけでなく、生活困窮者の支援も役割の一つです。恥ずかしがらずに、正直に状況を説明すれば、親身になって対応してくれることが多いですよ。

よくある質問(FAQ)

ここからは、国民健康保険料の軽減制度について、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。

離職理由コードはどこで確認できますか?

離職理由コードは、ハローワークで交付される「雇用保険受給資格者証」または「雇用保険受給資格通知」に記載されています。受給資格者証の場合、「離職理由」欄に2桁の数字で記載されています。手元に受給資格者証がない場合は、ハローワークで確認できます。また、離職票にも離職理由は記載されていますが、最終的な判定はハローワークが行うため、受給資格者証で確認するのが確実です。

失業保険を受給していなくても軽減対象になりますか?

はい、失業保険(雇用保険の基本手当)を実際に受給していなくても、雇用保険受給資格者証または受給資格通知を持っていれば軽減対象になります。受給資格があることが条件であって、実際に給付を受けているかどうかは関係ありません。ただし、ハローワークで求職の申し込みをして受給資格の決定を受ける必要はあります。給付制限期間中(自己都合退職の場合の待機期間)であっても、受給資格があれば国保の軽減は受けられますよ。

会社都合退職と自己都合退職(コード33)で軽減額は変わりますか?

いいえ、国民健康保険料の軽減に関しては、会社都合退職(特定受給資格者)も正当な理由のある自己都合退職(特定理由離職者・コード33)も、軽減の内容は全く同じです。どちらも給与所得を30%として計算され、軽減期間も同じです。違いがあるのは雇用保険の失業給付で、会社都合の場合は給付制限期間がなく、給付日数も多くなる傾向があります。国保に関しては、離職理由コードが23、33、34のいずれかであれば、同じ軽減が受けられると考えて大丈夫です。

申請を忘れていた場合、遡って適用されますか?

多くの自治体では、申請が遅れても離職時まで遡って軽減を適用してくれます。ただし、すでに保険料を納付済みの場合は、差額の還付手続きが必要になります。還付には時間がかかることもありますし、自治体によっては遡及適用に期限を設けている場合もあるため、気づいたらできるだけ早く申請することをおすすめします。一般的には、国民健康保険に加入してから一定期間内(1〜2年程度)であれば遡及適用される可能性が高いですが、自治体によって取り扱いが異なるため、まずは窓口に相談してみてください。

任意継続と国民健康保険、どちらが安いですか?

軽減制度を利用できる場合、多くのケースで国民健康保険の方が安くなります。任意継続は退職時の標準報酬月額に基づいて計算され、会社負担分も自己負担になるため、保険料が2倍になります(上限あり)。一方、軽減制度を利用した国保は給与所得を30%として計算されるため、負担が大幅に軽減されます。ただし、扶養家族が多い場合は任意継続の方が有利なこともあります。任意継続は扶養家族が何人いても保険料は同じですが、国保は世帯の人数に応じて均等割が加算されるためです。両方の保険料を試算して比較することをおすすめします。なお、任意継続は退職日の翌日から20日以内に申請する必要があり、一度加入すると2年間は原則として脱退できないので注意してください。

軽減期間の「翌年度末まで」とは具体的にいつまでですか?

軽減期間は「離職日の翌日が属する年度とその翌年度末」です。年度は4月1日から翌年3月31日までなので、例えば2025年10月31日に離職した場合、離職日の翌日である2025年11月1日が属する年度は2025年度(2025年4月1日〜2026年3月31日)です。その翌年度は2026年度(2026年4月1日〜2027年3月31日)なので、2027年3月31日まで軽減が適用されます。また、2026年3月31日に離職した場合、離職日の翌日である2026年4月1日が属する年度は2026年度なので、その翌年度末である2028年3月31日まで軽減を受けられます。

家族が働いていて世帯所得がある場合でも軽減されますか?

はい、軽減制度は「本人の給与所得を30%とみなす」制度なので、世帯の他の方に所得があっても、本人の給与所得部分は軽減されます。例えば、夫が失業して離職理由コード33に該当し、妻が働いている場合、夫の前年の給与所得は30%として計算されますが、妻の所得は通常通り100%で計算されます。世帯全体の保険料は両方の所得を合算して計算されるため、世帯所得が高いと軽減効果は相対的に小さくなりますが、本人分の軽減は確実に受けられます。また、均等割や平等割の軽減判定にも影響するため、世帯所得によっては追加の軽減を受けられる可能性もあります。

まとめ:自己都合退職でも諦めずに軽減申請を

ここまで、自己都合退職でも国民健康保険料の軽減を受けられる条件や手続き方法について詳しく説明してきました。最後に重要なポイントをまとめますね。

この記事の重要ポイント

  • 正当な理由のある自己都合退職なら、離職理由コード33に該当し、国保料の軽減を受けられる
  • 病気、介護、ハラスメント、配偶者の転勤など、多くのケースが該当する可能性がある
  • 前年の給与所得を30%として再計算されるため、年間10万円以上軽減されることも
  • 軽減期間は離職日の翌日が属する年度とその翌年度末まで
  • ハローワークで受給資格者証を取得し、市区町村窓口で必ず申請が必要
  • 申請しないと自動適用されないため、条件に該当する方は早めに手続きを

多くの方が「自己都合退職だから何も優遇措置はない」と思い込んで、高額な保険料を払い続けています。でも、正当な理由があれば会社都合退職と同じ軽減を受けられるんです。

特に、病気や家族の介護、ハラスメントなどで退職された方は、ぜひハローワークで離職理由について相談してみてください。証明書類があれば、離職理由コード33として認定される可能性は十分にあります。

また、すでに国民健康保険に加入していて、この記事を読んで「自分も該当するかも」と思った方は、今からでも申請できる可能性があります。遡及適用してもらえる場合も多いので、諦めずに市区町村の窓口に相談してみてくださいね。

失業中は経済的にも精神的にも大変な時期です。少しでも負担を軽くするために、使える制度はしっかり活用していきましょう。わからないことがあれば、ハローワークや市区町村の窓口で遠慮なく質問してください。きっと親身になって対応してくれるはずです。

あなたの再就職活動がうまくいくことを心から応援しています。