手書き対応 インボイス2023年〜 但し書き例文20選 印紙税早見表
- 領収書に書くべき必須・推奨の記載項目と正しい記入方法
- 2023年10月開始のインボイス制度に対応した書き方のポイント
- 但し書きの正しい書き方と業種別の例文20選
- 印紙税が必要になる金額と早見表
- 手書きでミスした時の正しい訂正方法
- 受取側が確認すべきチェックポイント
- よくある「上様」「お品物代」などのNG例とその理由
「お客様に領収書を頼まれたけど、何を書けばいいのか自信がなくて…」「インボイス制度が始まってから、書き方が変わったって聞いたけどよくわからない」そんなふうに感じている方、けっこう多いのではないでしょうか。
領収書はお金のやり取りを証明する大切な書類で、書き方を間違えると経費として認められなかったり、税務調査で問題になったりすることもあります。でも、基本のルールを押さえてしまえば、実は難しくありません。この記事では、手書き領収書の書き方からインボイス制度対応まで、やさしく丁寧に解説していきますね。
📄 領収書とは?レシート・領収証との違いを整理
領収書とは、代金の受け取りを証明するために発行する書類のことです。民法第486条では「弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる」と定められており、お客様から請求された場合は原則として発行する義務があります(民法第486条・e-Govポータル)。
税務上は、国税庁の定める第17号文書「金銭又は有価証券の受取書」に当たり、経費の証明書類(証憑書類)として重要な役割を果たします。
📈 レシート・領収証・納品書との違い
「領収書」「レシート」「領収証」はどれも同じ意味で使われることが多いですが、少し整理しておきましょう。
| 書類の種類 | 特徴 | 経費申請での扱い |
|---|---|---|
| 領収書 | 手書きまたはシステム発行。宛名・但し書き・発行者情報が記載されている | ✅ 有効な証憑書類 |
| レシート | レジから自動印字。感熱紙タイプが多い。宛名の記載なし | ✅ 多くの企業で有効(社内規定による) |
| 領収証 | 「領収書」と同義語。書類の名称は問わない | ✅ 有効 |
| 納品書 | 商品の納品を証明する書類。金銭の受領は示さない | ❌ 単独では証憑として不十分 |
国税庁の規定では「受取書」「領収証」「レシート」「預り書」は、名称にかかわらずすべて同じ扱いです。請求書や納品書などに「代済」「相済」「了」などと記入したものも、領収書と同じ効力を持ちます(国税庁「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」)。
✏️ 領収書の記載項目と正しい書き方
手書きの領収書を書く際は、以下の項目を漏れなく記載することが大切です。特に宛名・日付・金額・但し書き・発行者情報・消費税額は、税務上の証憑として有効性を高めるために重要な記載事項です。一つひとつ確認していきましょう。
❶ 宛名の書き方
宛名は、代金を支払った個人名または会社名をフルネームで記載します。
「上様」は日本の商慣習として使われてきましたが、法人名・氏名が特定できないため、税務調査の際に経費として認められないリスクがあります。会社への経費申請では、会社名や氏名を正確に記載してもらうようにしましょう。
❷ 日付の書き方
代金を受け取った日付を記載します。和暦・西暦のどちらでも問題ありません。
例:令和7年5月28日 / 2025年5月28日
日付が空欄のまま渡すのは厳禁です。あとから書き加えることで改ざんとみなされる可能性があります。
❸ 金額の書き方と改ざん防止
金額の記入は改ざん防止の工夫が欠かせません。以下のルールを守りましょう。
例:¥66,000
例:¥1,500,000(カンマがあると数字の改ざんがしにくくなります)
例:¥66,000※ / ¥66,000- / 金六万六千円也
末尾に何も書かないと、後から数字を書き足される改ざんリスクがあります
❹ 但し書きの書き方と業種別例文20選
但し書きは、何に対して支払ったかを示す最重要項目のひとつです。「お品物代」「品代」のような曖昧な表現では、実際に何に使ったかが不明で、税務上の経費として認められないことがあります。できるだけ具体的な内容を書きましょう。
「〇〇代(費)として」という形が基本です。
例:「飲食代として」「研修費として」「消耗品費として」
費目・業種別に分類した但し書き例文をまとめました。
接待飲食代として
会議用飲食費として
手土産代として
タクシー代として
駐車場代として
宿泊費として
事務用品費として
通信費として
印刷費として
研修費として
セミナー参加費として
広告宣伝費として
修繕費として
クリーニング代として
慶弔費として
顧問料として
会議費として
❺ 発行者情報・印鑑の記載
代金を受け取った側(=領収書を発行する側)の情報を記載します。
- 氏名または会社名
- 住所・電話番号(任意ですが記載が望ましい)
- 印鑑(法的義務はありませんが、信頼性を高めるために押すのが慣例です)
❻ 消費税の内訳表示
消費税額や税率を明記することは、インボイス制度の観点からも非常に重要です。特に標準税率10%と軽減税率8%が混在する場合は、それぞれを区分して表示する必要があります。
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 税込金額のみ表示 | ¥11,000(税込10%) |
| 税抜・消費税を区分 | 本体価格:¥10,000 消費税(10%):¥1,000 合計:¥11,000 |
| 軽減税率が混在する場合 | 8%対象 ¥5,400(消費税¥400) 10%対象 ¥5,500(消費税¥500) 合計 ¥10,900 |
📋 手書き領収書の記入サンプル
株式会社〇〇 御中
飲食代として
令和7年5月28日
本体 ¥30,000
消費税(10%)¥3,000
△△飲食店
東京都〇〇区〇〇
📄 インボイス制度対応の領収書の書き方(2023年10月〜)
2023年(令和5年)10月1日から適格請求書等保存方式(インボイス制度)がスタートしました(国税庁公式サイト)。これにより、仕入税額控除を受けるためには、インボイス(適格請求書)として要件を満たした書類の保存が必要になっています。
「インボイス」というと難しそうですが、要はこれまでの領収書に数項目追加するだけで対応できます。
🌟 課税事業者が追加すべき記載項目
適格請求書発行事業者の登録をした課税事業者は、領収書に以下の内容を追記する必要があります(国税庁「インボイス制度について」)。
登録番号は「T」から始まる13桁の番号です。法人の場合は法人番号と同じ番号になります。個人事業主の場合は申請後に税務署から通知される番号で、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで誰でも確認できます。
📌 飲食店・タクシーなどは「簡易インボイス」でOK
小売業・飲食店業・タクシー業など、不特定多数の方に販売するビジネスでは「適格簡易請求書(簡易インボイス)」の発行が認められています(国税庁)。簡易インボイスでは、宛名(交付先の氏名・名称)の記載を省略できます。
| 記載事項 | 通常の適格請求書 | 適格簡易請求書 |
|---|---|---|
| 交付先の氏名・名称(宛名) | ✅ 必要 | ❌ 省略可 |
| 発行者の氏名・名称・登録番号 | ✅ 必要 | ✅ 必要 |
| 取引年月日 | ✅ 必要 | ✅ 必要 |
| 取引内容(軽減税率の旨) | ✅ 必要 | ✅ 必要 |
| 税率ごとの合計額 | ✅ 必要 | ✅ 必要 |
| 消費税額等または適用税率 | ✅ 両方必要 | ✅ どちらか一方でOK |
🚫 免税事業者の場合はどうする?
基準期間(個人事業主は前々年、法人は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下などの要件を満たす免税事業者は、適格請求書発行事業者の登録ができないため、インボイス(適格請求書)を発行することができません。
そのため、免税事業者が発行した領収書は、取引相手(買い手側)が仕入税額控除の対象にできない場合があります。取引先との関係で問題が生じないよう、自身の課税・免税の状況を確認しておくとよいでしょう。
令和11年(2029年)9月末まで、インボイスの保存がなくても仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています(国税庁)。詳しい割合は国税庁の公式サイトでご確認ください。
📋 インボイス対応 記入サンプル
実際にどう書けばよいか、2パターンのサンプルで確認しましょう。
【パターン①】通常の適格請求書(BtoB・一般事業者向け)
消印が必要
株式会社〇〇 御中
会議費として
令和7年5月28日
¥50,000(消費税 ¥5,000)
★ 登録番号・適用税率・消費税額の記載がインボイスの要件です
- 登録番号(「T」+13桁)の記載
- 適用税率(10%・8%)の明示
- 税率ごとの消費税額の明示
【パターン②】適格簡易請求書(飲食店・小売業・タクシーなど)
飲食代として
令和7年5月28日
¥3,000(消費税 ¥300)
★ 簡易インボイスは宛名を省略できます
- 宛名(交付先の氏名・名称)を省略できるため、レジ発行のレシートでも対応可能
- 消費税額か適用税率のどちらか一方の記載でOK(通常の適格請求書は両方必要)
- 小売業・飲食店業・タクシー業・駐車場業・旅行業などが対象(国税庁)
💰 印紙税の基礎知識|貼る金額の目安と早見表
現金で受け取った金額が一定以上の場合、領収書には収入印紙を貼付する義務があります。これが「印紙税」です。
☑ 現行の非課税基準は「5万円未満」
2014年(平成26年)4月以降、受取金額が5万円未満の領収書は非課税となり、収入印紙は不要です(国税庁「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」)。それ以前は3万円未満が非課税でしたが、基準が緩和されました。
| 受取金額(売上代金) | 印紙税額 |
|---|---|
| 5万円未満 | 非課税(不要) |
| 5万円以上 〜 100万円以下 | 200円 |
| 100万円超 〜 200万円以下 | 400円 |
| 200万円超 〜 300万円以下 | 600円 |
| 300万円超 〜 500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円超 〜 1,000万円以下 | 2,000円 |
出典:国税庁「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」(令和7年4月1日現在法令等)
領収書に「本体価格:¥48,000、消費税(10%):¥4,800、合計:¥52,800」と消費税額を区分して記載した場合、印紙税の判定は本体価格(税抜)の48,000円で行われ、5万円未満となるため非課税になります。税込金額のみ「¥52,800」と書いた場合は、5万円以上となり200円の印紙が必要になります。消費税額を明記することで節税につながることも。
💻 電子発行の領収書は印紙不要
メールやシステムでPDFとして送付するなど、電子データとして交付する領収書には印紙税がかかりません。印紙税法は「用紙等に課税事項を記載した文書」に課税する仕組みのため、電子データは課税文書に当たらないと解釈されています(印紙税法基本通達第44条・国税庁の質疑応答事例)。
なお、電子データで送った領収書を受取側が印刷した場合も、発行者が印刷したわけではないため印紙税の対象にはなりません。
✏️ 手書き領収書を書くときの注意点とよくあるNG例
手書き領収書はちょっとしたミスが後々のトラブルにつながることがあります。よくある失敗パターンを知っておくと安心ですよ。
✍️ 間違えた時の正しい訂正方法
書き間違えた場合は、修正液・修正テープの使用はNGです。改ざんとみなされる可能性があります。正しい訂正方法は次のとおりです。
定規を使ってきれいに二重線を引き、元の文字が読める状態を保ちます
二重線の上または横に、発行者の印鑑を押します
訂正箇所の上または横に、正しい内容を記入します
領収書の書き直しや再発行に法的な制限はありませんが、「二重発行」にならないよう注意が必要です。再発行する場合は、元の領収書を回収するか、「再発行」と明記した上で元の日付と領収書番号を記載するようにしましょう。
❌ よくあるNG記載パターン一覧
| NG記載 | 問題点 | 正しい記載 |
|---|---|---|
| 上様 | 支払者が特定できず、税務調査で経費として認められないリスクがある | 会社名・氏名をフルネームで記載 |
| 品代/お品物代として | 何に使ったか不明。経費の実態が証明できない | 「飲食代として」「消耗品費として」など具体的に |
| 金額末尾に何も書かない | 後から数字を書き足される改ざんリスクがある | 「¥66,000-」のように「※」「-」「也」で締める |
| 修正液・修正テープで修正 | 改ざんを疑われる。証憑として無効になる可能性がある | 二重線+訂正印で訂正する |
| 日付が空欄 | いつの取引か不明。証憑として不十分 | 代金受領日を必ず記載 |
| 発行者情報なし | 誰が発行したか不明。証憑として不十分 | 発行者の氏名・社名・住所を記載 |
✅ 受取側が確認すべきチェックポイント
領収書をもらう側も、受け取る際にしっかり確認しておくことが大切です。後から「経費に使えない」とわかっても、その場でお願いしづらくなってしまいますよね。
📋 経費精算で却下されないための7項目チェック
- 宛名が自社の会社名または氏名になっているか
- 日付が実際の支払日になっているか
- 金額が正確で、改ざん防止の末尾処理がされているか
- 但し書きが「〇〇代として」と具体的に書かれているか
- 発行者(お店・取引先)の名前・住所が記載されているか
- 消費税額または税率が記載されているか(インボイス対応の場合は登録番号も)
- 5万円以上の場合、収入印紙が貼付されているか(紙の場合)
📋 レシートのみで経費申請できるケース
「領収書をもらい忘れた!」という時もあると思います。多くの会社ではレシートも領収書と同様に証憑として認めていることが多いです。ただし、会社によって経費規程が異なるため、事前に経理担当者に確認しておくのが安心です。
また、交通系ICカードの利用履歴や、クレジットカードの利用明細も、利用の事実を証明するものとして活用できる場合があります。
受け取ってしまった場合は、その場で「会社名を記入していただけますか」とお願いするのがベストです。後から追記・修正してもらうことは、改ざんとみなされるリスクがあるため、できる限り受取時に対応しましょう。
❓ よくある質問(FAQ)
- 領収書には宛名・日付・金額・但し書き・発行者情報・消費税額を記載しましょう。印鑑は法的義務はありませんが押すのが慣例です。5万円以上の紙の領収書には収入印紙が必要です
- 但し書きは「〇〇代として」と具体的に書くことで、税務上の証憑として有効になります
- 2023年10月以降はインボイス制度対応として、登録番号・適用税率・消費税額の記載が必要になりました(課税事業者の場合)
- 印紙税は受取金額5万円以上の紙の領収書に必要です(電子発行は不要)
- 間違えた場合は修正液NG・二重線+訂正印が正しい対処法です
- 領収書の保管期間は法人・青色申告個人は原則7年、白色申告個人は5年が基本です(欠損金がある法人の青色申告年度は最大10年)
※本記事の税務・法令に関する情報は、国税庁の公式サイト・e-Govポータル等の一次情報をもとに作成しています。税制は改正される場合がありますので、最新情報は国税庁公式サイトでご確認ください。

