病気やケガで仕事を休むことになったとき、生活費の心配は本当に大きいですよね。そんなときに頼りになるのが傷病手当金です。でも、いざ申請しようとすると「申請書が4枚もある」「どこに何を書けばいいの?」と戸惑う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、傷病手当金の申請書について、初めて申請する方でもスムーズに手続きができるよう、記入方法から提出までの流れを分かりやすく解説していきます。
この記事でわかること
- 傷病手当金申請書の基本構成と各書類の役割
- 申請書のダウンロード方法と最新様式の確認方法
- 被保険者・事業主・医師それぞれの記入欄の具体的な書き方
- 記入ミスを防ぐためのチェックポイント
- うつ病など精神疾患や退職後の特殊ケースでの申請方法
- 提出から支給までの流れと期間の目安
- よくある質問と答え
傷病手当金申請書とは?基本を理解する
傷病手当金は、病気やケガで仕事を休んだときに、健康保険から標準報酬日額の約3分の2が支給される制度です。この給付を受けるために必要なのが傷病手当金支給申請書になります。
傷病手当金申請書の構成(4枚1組の内訳)
申請書は4枚で1組になっていて、それぞれ記入する人が違います。
| 枚数 | 記入者 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1枚目 | 被保険者本人 | 個人情報・振込先口座 |
| 2枚目 | 被保険者本人 | 傷病名・申請期間・仕事の内容 |
| 3枚目 | 事業主(会社) | 勤務状況・給与支払状況 |
| 4枚目 | 療養担当者(医師) | 傷病の詳細・労務不能期間の証明 |
この構成になっている理由は、給付が適切かどうかを多角的に確認するためです。本人の申告だけでなく、会社からの勤務実態の証明、医師からの医学的な労務不能の証明が必要になるんですね。
誰が何を記入するのか
1被保険者本人が1〜2枚目を記入
基本情報や申請したい休業期間、傷病名などを記入します。自分で記入できる部分なので、まずはここから始めましょう。
2事業主(会社)が3枚目を記入
人事部や総務部に依頼して、出勤状況や給与の支払い状況を証明してもらいます。
3医師が4枚目を記入
通院している医療機関で、診察に基づいて労務不能であることを証明してもらいます。
令和5年1月からの様式変更点
令和5年1月に申請書の様式が改定されました。主な変更点は以下の通りです。
- マス目化と選択式の導入:記入欄の多くがマス目化され、一部が選択式になり記入しやすくなりました
- 記入欄の簡略化:被保険者記入用の一部の項目(傷病名・報酬に関する記入欄など)がチェック方式に変更され、重複記入が不要になりました
- 受取代理人欄の削除:原則として本人口座への振込となり、受取代理人による受け取りは制限されました
- 負傷原因届の原則不要化:ケガの場合の負傷原因届の添付が原則不要になりました(法人役員を除く)
もし古い様式をお持ちの場合は、必ず最新版をダウンロードしてください。旧様式でも受け付けてもらえますが、事務処理に時間がかかる可能性があるため、新様式を使うことをおすすめします。
傷病手当金申請書の入手方法
申請書を手に入れる方法はいくつかあります。一番確実なのは、ご自身が加入している健康保険の公式サイトからダウンロードする方法です。
協会けんぽからのダウンロード方法
会社員の多くが加入している全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合、公式サイトから簡単にダウンロードできます。
- 全国健康保険協会のウェブサイトにアクセス
- 「申請書」または「健康保険給付の申請書」のページを開く
- 「傷病手当金支給申請書」を選択
- PDFファイルをダウンロード
申請書には「入力用」と「手書き用」の2種類があります。入力用はパソコンで文字を入力してから印刷できるので、字に自信がない方にもおすすめです。手書き用は印刷して直接ペンで記入するタイプですね。
健康保険組合からの取得方法
大企業にお勤めの方は、会社独自の健康保険組合に加入している場合があります。健康保険組合によっては独自の申請書様式を使っていることもあるんですね。
健康保険証に「○○健康保険組合」と記載されている場合は、その健康保険組合の公式サイトを確認しましょう。検索エンジンで「(組合名) 傷病手当金 申請書」と検索すると見つかりやすいです。
会社経由での入手方法
会社の人事部や総務部に「傷病手当金の申請をしたいのですが」と相談すると、申請書を用意してくれることもあります。会社によっては、すでに申請書をストックしているところもあるんですね。
ただし、必ず最新版かどうか確認してください。古い様式が残っていることもありますので、「令和5年1月版ですか?」と確認すると安心です。
最新様式の確認方法
お手元の申請書が最新版かどうか心配な場合は、以下のポイントをチェックしてみてください。
- 記入欄の多くがマス目になっている
- 被保険者記入用に「同じ傷病での申請であるか」のチェック欄がある
- 受取代理人欄が削除されている
- 申請書の下部に「令和5年1月」などの日付が記載されている
不安な場合は、念のため最新版をダウンロードし直すのが確実です。申請書の記入には時間がかかりますから、途中でやり直しになるのは避けたいですよね。
【記入例付き】被保険者記入用(1〜2枚目)の書き方
それでは、ご自身で記入する1枚目と2枚目の具体的な書き方を見ていきましょう。ここが申請書の中でも最も重要な部分になります。
1枚目の記入項目と書き方
1枚目は主に個人情報と振込先の指定を記入します。
①被保険者証の記号・番号
健康保険証に記載されている記号と番号を正確にマス目に記入してください。記号と番号の間には、スペースやハイフンは不要です。保険証を見ながら、間違いのないよう慎重に書きましょう。
②氏名・生年月日・性別
氏名は戸籍上の正式な表記で記入します。氏名とカタカナ氏名の両方を記入してください。旧字体の漢字を使っている方は、正確に書いてくださいね。生年月日は西暦ではなく「令和」「平成」などの元号で記入するのが一般的です。
③住所・電話番号
現在お住まいの住所を記入します。郵便番号も忘れずに。電話番号は、日中に連絡が取れる番号を記入しましょう。不備があった場合に、健康保険から連絡が来ることがあります。
④振込先指定口座
傷病手当金を振り込んでほしい金融機関の口座情報を記入します。
- 必ず本人名義の口座を指定してください。令和5年1月からは原則として受取代理人による受取はできなくなりました
- 金融機関名・支店名・口座種別(普通・当座)・口座番号を正確にマス目に記入
- 通帳またはキャッシュカードを見ながら記入すると間違いが防げます
- ゆうちょ銀行の場合は、記号・番号ではなく「店名・口座番号」が必要です
2枚目の記入項目と書き方
2枚目は、傷病手当金を請求する具体的な内容を記入します。ここが一番慎重に記入する必要がある部分ですね。
①申請期間(療養のために休んだ期間)
傷病手当金を請求したい期間を記入します。この期間は、実際に仕事を休んでいた期間を指定します。
- 傷病手当金は連続して3日間休んだ後(待期期間)、4日目から支給対象になります
- 「○年○月○日から○年○月○日まで」という形で、開始日と終了日をマス目に記入
- 公休日(土日など)も含めて記入します
- 初回申請の場合は、最初に休んだ日から記入しましょう
記入例:令和7年1月10日から体調不良で休み始め、1月31日まで休んだ場合
→「令和7年1月10日から令和7年1月31日まで」と記入
②被保険者の仕事の内容
これは意外と記入ミスが多い項目なんです。ここには、具体的な職務内容を書く必要があります。
| 記入例 | 良い例・悪い例 | 理由 |
|---|---|---|
| × 会社員 | 悪い例 | 抽象的すぎる |
| × 事務員 | 悪い例 | 業務内容が不明確 |
| ○ 経理担当事務 | 良い例 | 具体的な業務が分かる |
| ○ 自動車組立作業 | 良い例 | 作業内容が明確 |
| ○ システム開発プログラマー | 良い例 | 職種と業務が具体的 |
| ○ 店舗での接客販売業務 | 良い例 | 業務内容が分かりやすい |
なぜ具体的に書く必要があるかというと、労務不能の判断に関わるからです。例えば、デスクワークと肉体労働では、同じ傷病でも労務への影響が異なりますよね。医師が労務不能と判断する際の参考情報にもなるんです。
③傷病名・発病または負傷年月日
令和5年1月からの新様式では、4枚目の医師記入欄と同じ傷病での申請かどうかをチェックする方式に変更されました。同じ傷病での申請の場合は、チェックを入れるだけで済むようになり、記入が簡単になっています。
まだ医師の診断を受けていない段階で記入する場合は、診察時に医師に「診断書に記載される傷病名を教えてください」と確認しておくと安心です。
発病または負傷年月日は、症状が出始めた日や、ケガをした日を記入します。「○年○月○日ごろ」という書き方でも大丈夫です。明確な日付が分からない場合は、およその時期を記入しましょう。
④傷病の原因
傷病の原因について、該当する項目にチェックを入れます。
- 業務上:仕事中や通勤中のケガ・病気(この場合は労災保険の対象になるため、傷病手当金は支給されません)
- 業務外:プライベートでの病気やケガ
- 第三者の行為:交通事故など他人に起因する傷病
ほとんどの場合は「業務外」にチェックすることになります。もし業務上や第三者の行為に該当する場合は、別の手続きが必要になることがあるので、会社や健康保険に相談してくださいね。
⑤確認事項(年金・労災など)
最後に、他の給付との重複がないかを確認する項目があります。
- 障害厚生年金や障害手当金を受けているか
- 労災保険の休業補償を受けているか
- 出産手当金を受けているか
これらに該当する場合、傷病手当金が調整されたり、支給されなかったりすることがあります。正直に記入しましょう。分からない場合は、会社の人事部や年金事務所に確認するのがおすすめです。
記入時の重要ポイント
被保険者記入欄を書く際の重要なポイントをまとめます。
- 黒のボールペンまたは万年筆で記入する(消せるペンは不可)
- 誤字があった場合は、二重線を引いて訂正印を押す
- 修正液や修正テープは使わない
- 記入前にコピーを取っておくと、次回申請時に参考になる
- 不明な点は、提出前に健康保険に問い合わせる
被保険者記入欄は、申請のスタート地点です。ここを丁寧に記入することが、スムーズな給付につながります。時間をかけてじっくり記入してくださいね。
事業主記入用(3枚目)の書き方と依頼方法
3枚目は、会社(事業主)に記入してもらう書類です。ここには勤務状況や給与の支払い状況が記載されます。
事業主記入用に記載される内容
事業主記入欄では、主に以下の内容を会社が証明します。
- 出勤状況:申請期間中に出勤した日があるか(出勤日のみに○を付ける方式)
- 給与の支払い状況:休業期間中に給与が支払われたか、支払われた場合はその額
- 報酬の支払い基礎日数:通常の給与計算期間における労働日数
令和5年1月からの新様式では、出勤日のみに○を付ける方式になり、有給休暇や公休日の記入が不要になって記入が簡単になりました。
これらの情報をもとに、傷病手当金の支給額が計算されるため、正確な記入が必要なんですね。
給与形態別の記入例
給与の支払い方法によって、記入内容が少し変わってきます。
日給月給制の場合
日給月給制とは、月給が決まっているけれど、欠勤した日数分は給与から差し引かれる形態です。多くの会社員がこの形態ですね。
- 報酬支払基礎日数:例えば月22日(実際の労働日数)
- 休業期間中の給与支払額:欠勤控除後の実際に支払われた額
日給制・時給制の場合
日給制や時給制の場合は、働いた日数や時間に応じて給与が決まるため、記入方法が異なります。
- 日給制:1日あたりの日給額と、実際に働いた日数を記載
- 時給制:時給額と、実際に働いた時間数を記載
歩合給制の場合
営業職などで歩合給がある場合、固定給部分と歩合給部分を分けて記載する必要があります。この場合は会社の給与担当者にしっかり確認してもらいましょう。
会社への依頼タイミングと伝え方
会社に記入を依頼する際は、以下のポイントを押さえておくとスムーズです。
1できるだけ早めに相談する
休業が決まったら、すぐに人事部や総務部に「傷病手当金の申請をしたい」と伝えましょう。会社側も準備ができます。
2申請期間を明確に伝える
「○月○日から○月○日までの期間で申請したいです」と具体的に伝えると、会社も記入しやすくなります。
3記入済みの1〜2枚目と一緒に渡す
自分が記入した部分を先に完成させてから、3枚目を会社に渡すのが一般的な流れです。
会社に渡す際は、「記入後、4枚目と一緒に自分に返してください」と伝えておくと、その後の手続きがスムーズです。
療養担当者記入用(4枚目)の書き方と医師への依頼
4枚目は、医師(療養担当者)に記入してもらう書類です。医学的に労務不能であることを証明してもらう、とても重要な書類になります。
療養担当者記入用に記載される内容
医師が記入する主な内容は以下の通りです。
- 傷病名:正式な医学的診断名
- 発病または負傷の年月日:初診日など
- 症状の経過:病状や治療内容の概要
- 労務不能と認めた期間:仕事ができない状態だった期間
- 診察日:実際に診察した日付
医師は診察に基づいてのみ記入できるため、定期的な通院が必要になります。
医師への依頼方法とタイミング
医師への依頼は、以下の手順で進めるとスムーズです。
1診察時に依頼する
通院の際に「傷病手当金の申請をしたいので、証明書を書いていただけますか」と伝えましょう。申請書の4枚目を渡します。
2申請期間を明確に伝える
「○月○日から○月○日までの期間で申請したいです」と具体的に伝えます。この期間内に診察を受けていることが必要です。
3受け取り方法を確認する
後日受け取りか、郵送してもらえるかなど、受け取り方法を確認しておきましょう。
- 医師は初診日以降の期間しか証明できません
- 診察していない期間については記入できません
- そのため、定期的な通院が必要になります(月1〜2回程度が目安)
記入に時間がかかる場合の対処法
医療機関によっては、証明書の記入に1〜2週間程度かかることもあります。これは、医師が診察の合間に記入する必要があるためです。
- 診察の際に「次回の診察までに記入をお願いできますか」と確認する
- 月末の診察時に依頼すれば、翌月初めには受け取れることが多い
- 急ぐ場合は、その旨を受付や医師に伝える
精神疾患での証明のポイント
うつ病や適応障害などの精神疾患の場合、外見からは労務不能かどうか分かりにくいため、医師の証明がより重要になります。
精神科や心療内科の医師は、患者さんの症状や状態を総合的に判断して、労務不能期間を証明してくれます。遠慮せず、正直に体調や困っていることを伝えてくださいね。
傷病手当金申請書の提出方法と流れ
4枚すべての記入が完了したら、いよいよ提出です。提出から支給までの流れを確認しましょう。
申請の全体フロー
1病気・ケガで仕事を休む
連続して3日間休むことで、待期期間が成立します。4日目から支給対象になります。
2医療機関を受診
医師の診察を受け、診断を受けます。
3申請書を入手
協会けんぽや健康保険組合のサイトからダウンロード、または会社から受け取ります。
4被保険者欄(1〜2枚目)を記入
自分で記入できる部分を完成させます。
5会社に事業主欄(3枚目)の記入を依頼
人事部や総務部に記入してもらいます。
6医師に療養担当者欄(4枚目)の記入を依頼
通院時に医師に証明してもらいます。
7健康保険に提出
4枚すべてを協会けんぽまたは健康保険組合に提出します。
8審査・支給決定
健康保険で審査が行われ、支給が決定します。
9傷病手当金の振込
指定した口座に振り込まれます。
提出先(協会けんぽ・健康保険組合)
提出先は、ご自身が加入している健康保険によって異なります。
- 協会けんぽの場合:都道府県ごとの協会けんぽ支部
- 健康保険組合の場合:ご自身の会社の健康保険組合
提出先の住所は、健康保険証や申請書に記載されています。分からない場合は、会社の人事部に確認するのが確実です。
提出方法(郵送・窓口・会社経由)
提出方法には、主に3つの方法があります。
①郵送での提出
最も一般的な方法です。普通郵便でも大丈夫ですが、心配な方は簡易書留や特定記録郵便を利用すると、配達の記録が残って安心です。
- 提出前に申請書のコピーを取っておく(次回申請の参考になります)
- 添付書類がある場合は、忘れずに同封する
- 封筒には「傷病手当金支給申請書在中」と記載すると親切
②窓口への持参
協会けんぽの支部や健康保険組合の窓口に直接持参することもできます。その場で書類の不備をチェックしてもらえることもあるので、急いでいる場合や心配な場合におすすめです。
③会社経由での提出
会社によっては、人事部が取りまとめて提出してくれることもあります。会社に確認してみましょう。
提出のタイミング(月次申請の推奨)
傷病手当金は、事後申請が原則です。つまり、休業期間が終わってから申請します。
- 早く給付を受けられる:3ヶ月分まとめて申請するより、毎月申請した方が早く受け取れる
- 生活費の心配が減る:定期的に給付があると、生活設計が立てやすい
- 記入がしやすい:期間が短い方が、日付の記入ミスなども少なくなる
例えば、3ヶ月休む場合、1ヶ月目の休業が終わったら1回目を申請し、2ヶ月目が終わったら2回目を申請する、という流れです。
記入時によくあるミスと対策
申請書の記入ミスがあると、書類が差し戻されて、支給が遅れてしまいます。よくあるミスを事前に知って、防ぎましょう。
協会けんぽが指摘する記入ミスTOP5
協会けんぽが公表している、記入ミスが多い項目を紹介します。
| 順位 | ミスの内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 1位 | 傷病名の不一致 | 被保険者記入欄と医師記入欄の傷病名を一致させる(新様式ではチェック方式で簡略化) |
| 2位 | 申請期間の記入ミス | カレンダーを見ながら正確に記入 |
| 3位 | 事業主の証明漏れ | 3枚目が白紙になっていないか確認 |
| 4位 | 医師の証明が申請期間と合っていない | 医師に申請期間を明確に伝える |
| 5位 | 振込口座の記入ミス | 通帳やキャッシュカードを見て記入 |
傷病名・発病日の不一致を防ぐ方法
令和5年1月からの新様式では、同じ傷病での申請の場合はチェックを入れるだけになり、記入ミスが減りました。ただし、初回申請や別の傷病での申請時は注意が必要です。
- 医師に4枚目を記入してもらう前に、「申請書に書く傷病名を教えてください」と確認する
- 医師が記入した4枚目を受け取ったら、2枚目と照らし合わせて確認する
- 不一致があった場合は、2枚目を訂正印で修正する
例えば、自分で「腰痛」と書いたけれど、医師が「腰椎椎間板ヘルニア」と記入した場合、2枚目も「腰椎椎間板ヘルニア」に訂正する必要があります。
申請期間の記入ミス防止策
申請期間の記入ミスも多いんです。特に、連続していない期間を申請する場合は注意が必要です。
- 申請期間の開始日と終了日が逆になっている
- 出勤した日を含めて記入してしまった
- 公休日を除いて記入してしまった(公休日も含めるのが正しい)
カレンダーに休んだ日をマークして、それを見ながら記入すると間違いが減りますよ。
書類提出前のチェックリスト
提出前に、以下のチェックリストで最終確認をしましょう。
- 1枚目:被保険者証の記号・番号、氏名(漢字・カナ)、住所、振込口座が正確に記入されているか
- 2枚目:申請期間、仕事の内容、傷病名(またはチェック)が正確に記入されているか
- 3枚目:事業主の記入と証明印があるか(会社印)
- 4枚目:医師の記入と証明印があるか(医療機関の印)
- 傷病名が2枚目と4枚目で一致しているか(新様式で同じ傷病の場合はチェック確認)
- 申請期間が4枚目の労務不能期間と合っているか
- 訂正箇所があれば、訂正印が押されているか
- 添付書類(ある場合)が揃っているか
- 申請書のコピーを取ったか
ケース別の申請書記入方法
特殊なケースでの申請について、ポイントを解説します。
うつ病・適応障害など精神疾患の場合
精神疾患での申請には、いくつか特有のポイントがあります。
労務不能の証明
精神疾患の場合、外見からは体調が分かりにくいため、医師の診断がより重要になります。精神科や心療内科の医師は、患者さんの症状を総合的に判断して労務不能を証明してくれます。
通院の頻度
うつ病や適応障害の治療では、定期的な通院が特に重要です。月1〜2回は診察を受けることで、医師も継続的に状態を把握でき、証明書も書きやすくなります。
仕事の内容の記入
「被保険者の仕事の内容」欄は、できるだけ具体的に書きましょう。例えば、「顧客対応を含む営業業務」「複数のプロジェクトを管理する企画業務」など、ストレスの原因となり得る業務内容を明確に書くことで、労務不能の判断材料になります。
退職後に申請する場合
一定の条件を満たせば、退職後でも傷病手当金を受け取れるケースがあります。
退職後も受給できる条件
以下の条件をすべて満たす場合、退職後も継続して傷病手当金を受給できます(継続給付)。
- 被保険者期間が継続して1年以上:退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること(国民健康保険や任意継続の期間は含まれません)
- 資格喪失時に傷病手当金を受けているか、受けられる条件を満たしていること:退職時に傷病手当金を受給中か、または待期期間が完成していて受給できる状態であること
- 退職日に出勤していないこと:退職日も労務不能の状態(休業状態)であること
退職後の申請での記入の違い
退職後の申請では、以下の点が通常と異なることがあります。
- 事業主記入欄(3枚目)の扱い:健康保険組合によって異なりますが、退職後の期間については事業主記入欄が不要になる場合があります
- 退職日や資格喪失日を正確に記入する必要がある
- 退職したことを証明する書類(離職票など)の添付を求められることがある
退職後の申請については、加入していた健康保険に事前に確認することを強くおすすめします。
退職後の重要な制限
- 断続的な受給はできません:退職後に1日でも「労務可能」と医師が判断した日があると、その後は同じ傷病で再び労務不能になっても傷病手当金は支給されません
- 支給期間は支給開始日から通算1年6ヶ月まで:退職日からではなく、最初に傷病手当金の支給を開始した日から通算して1年6ヶ月が上限です
- 在職中と同じ傷病であること:退職後に新たに発症した傷病は対象外です
複数回申請する場合の記入方法
長期間休業する場合、何度も申請書を提出することになります。その際のポイントをお伝えします。
2回目以降の申請で変わらない項目
以下の項目は、基本的に初回と同じ内容になります。
- 被保険者証の記号・番号
- 氏名・生年月日・住所・電話番号
- 振込口座
- 仕事の内容
- 傷病名(新様式では「同じ傷病」にチェックを入れるだけ)
2回目以降で変わる項目
変わるのは主に申請期間です。
- 1回目:令和7年1月10日〜1月31日
- 2回目:令和7年2月1日〜2月28日
- 3回目:令和7年3月1日〜3月31日
このように、月ごとに区切って申請していくイメージです。
医師への依頼
複数回申請する場合、毎回医師に4枚目を記入してもらう必要があります。定期的に通院し、その都度、次の期間の証明をお願いしましょう。
例えば、月1回通院している場合、通院のたびに「次の1ヶ月分の証明をお願いします」と依頼する流れになります。
申請書提出後の流れと支給時期
申請書を提出したら、あとは待つだけです。でも、どれくらいで振り込まれるのか、気になりますよね。
審査期間の目安
審査期間は、加入している健康保険によって異なります。
- 協会けんぽの場合:書類到着後、約10営業日(約2週間)
- 健康保険組合の場合:組合によって異なるが、2週間〜1ヶ月程度
支給決定通知書の見方
審査が完了すると、傷病手当金支給決定通知書が郵送されてきます。
通知書には以下の情報が記載されています。
- 支給を決定した期間
- 支給額(標準報酬日額の3分の2)
- 振込予定日
- 計算の内訳
通知書を受け取ったら、申請した期間と一致しているか、金額に大きな違いがないかを確認しましょう。疑問点があれば、健康保険に問い合わせてくださいね。
振込までの期間
支給決定通知書が届いてから、数日〜1週間程度で指定した口座に振り込まれます。
申請が却下されるケース
残念ながら、申請が却下されるケースもあります。主な理由は以下の通りです。
| 却下理由 | 詳細 |
|---|---|
| 待期期間が成立していない | 連続して3日間休んでいない場合 |
| 労務不能と認められない | 医師の証明が不十分な場合 |
| 給与が支払われている | 休業期間中に通常通りの給与が支払われている場合(一部支給の場合は調整されて支給されることがあります) |
| 業務上の傷病 | 労災保険の対象となる傷病の場合 |
| 申請期限を過ぎている | 労務不能日の翌日から2年を過ぎている場合 |
却下された場合は、理由が通知されますので、内容を確認して、必要であれば再申請や異議申し立てを検討しましょう。分からないことがあれば、健康保険に相談してくださいね。
傷病手当金申請でよくある質問(FAQ)
Q1. 申請書の記入を間違えてしまいました。どうすればいいですか?
A. 間違えた箇所に二重線を引き、訂正印を押してから、正しい内容を書いてください。修正液や修正テープは使わないようにしましょう。大きく間違えてしまった場合は、新しい用紙に書き直すのが確実です。
Q2. 傷病手当金は何回も申請するものですか?
A. はい、休業期間が終わるたびに申請します。長期間休む場合は、月ごとに申請するのが一般的です。支給期間は支給開始日から通算で最長1年6ヶ月ですが、その間、必要に応じて何度でも申請できます。
Q3. 医師の証明に費用はかかりますか?
A. はい、診断書作成料として、一般的に3,000円〜5,000円程度かかります。これは保険適用外の自費診療になります。医療機関によって金額が異なるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
Q4. 会社に知られずに申請できますか?
A. 在職中の申請の場合、3枚目の事業主記入欄があるため、会社に知られずに申請することは難しいです。ただし、退職後の継続給付の場合は、健康保険組合によって事業主記入欄が不要になることもあります。詳しくは加入している健康保険に確認してくださいね。
Q5. 傷病手当金の申請期限はありますか?
A. はい、時効は2年です。具体的には、労務不能だった日ごとに、その翌日から2年が申請期限になります。例えば、令和7年1月10日に休んだ分は、令和9年1月10日まで申請できます。ただし、早めに申請する方が生活も安定するので、可能な限り早く手続きすることをおすすめします。
Q6. 退職後も傷病手当金を受け取れますか?
A. 以下の条件をすべて満たせば、退職後も継続して受け取れます。
- 退職日までに被保険者期間が継続して1年以上あること
- 退職時に傷病手当金を受けているか、受けられる条件を満たしていること
- 退職日に出勤していないこと(休業状態である)
退職日に出勤してしまうと受給資格を失うので注意してください。また、退職後は断続的な受給ができず、1日でも労務可能と判断されるとその後の支給が打ち切られます。
Q7. 有給休暇を使った日も傷病手当金はもらえますか?
A. 有給休暇を使った日は、通常の給与が支払われるため、原則として傷病手当金は支給されません。ただし、支給額が傷病手当金より少ない場合は差額が支給されることがあります。有給休暇を使い切った後の無給の休業期間については支給対象になります。給与が支払われている期間と、無給の期間を分けて考える必要がありますね。
まとめ:スムーズな申請のための重要ポイント
傷病手当金の申請書について、記入方法から提出までの流れを詳しく解説してきました。最後に、スムーズな申請のための重要なポイントをまとめます。
- 最新の申請書を使う:令和5年1月改定版を使いましょう(マス目化・選択式で記入が簡単)
- 傷病名は医師の記入と一致させる:新様式ではチェック方式で簡略化されていますが、初回は注意が必要
- 月ごとに申請する:早く給付を受けられ、生活も安定します
- 定期的に通院する:医師の証明には診察が必要です(月1〜2回が目安)
- 提出前にコピーを取る:次回申請の参考になります
傷病手当金は、病気やケガで働けないときの大切な生活保障です。申請書の記入は少し複雑に感じるかもしれませんが、この記事を参考にしていただければ、きっとスムーズに手続きできますよ。
分からないことがあれば、遠慮せず加入している健康保険に問い合わせてください。担当の方が丁寧に教えてくれます。
何より大切なのは、ご自身の体調を第一に考えることです。無理せず、しっかり休養を取って、元気になってくださいね。傷病手当金が、あなたの回復期間を支える助けになりますように。
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)公式サイト:申請書ダウンロードや詳細情報が確認できます
- 各健康保険組合の公式サイト:組合独自の様式や手続き方法が確認できます
※具体的なURLは変更される可能性があるため、「協会けんぽ 傷病手当金」「(健康保険組合名) 傷病手当金」で検索してアクセスしてください。
この記事が、傷病手当金の申請をされる皆さんのお役に立てれば幸いです。安心して療養に専念できるよう、応援しています。

