飲食物販売に関する保健所の規則は、屋外イベントでの活動にも適用されます。しかし、これらの規則は地域ごとに異なる場合が多く、ある地域で許可されている飲食物が、他の地域では禁止されているという事態に直面することもあります。
また、食中毒には特に注意が必要です。多くの地域では食中毒のリスクがある食品の販売が禁止されていますが、衛生や健康面にも個人で配慮する必要があります。
このため、今回は屋外イベントでの食べ物・ドリンクなど食品販売に関連する様々な規定ついて以下のような方々に向けて詳しくご説明します。
・マルシェでの食品販売を計画している方
・祭りでの屋台出店を考えている方
・屋外イベントで屋台を出す際に何に注意すれば良いか分からない方
注意事項
許可や資格が必要がとなります。
屋外イベントでの食品販売時には、許可や販売禁止されている食品についての知識が必要です(地域ごとに規定が異なるため、詳細は各保健所に確認が必要です)。また、販売する屋台にも制限がある場合があります。
屋台で食品・飲料を販売するには、「臨時営業許可」が必要です。これは不特定多数の人が参加する一時的なイベントに参加するためのもので、手数料が必要です。
食品衛生責任者証:
調理施設内で最低1人はこの資格を持つ必要があります。食品衛生協会が定めた講習を受けることで取得できます。出店前に資格証明書の提出が求められる場合があるため、取得後は保管が必要です。
食品営業許可を取得するまでの流れ
①保健所への事前相談
出店の内容を定めたらレンタルスペースのオーナーに確認を取ったうえ、保健所で事前相談をしましょう。
食品営業許可を申請するのがはじめての場合には、遅くても出店の2週間前、可能であれば1ヶ月前までに相談を済ませておきたいところです。
相談にあたっては施設の図面などを持参する必要があります。
営業の基準を満たしているレンタルスペースを選ぶのは言うまでもありませんが、書類を提出する段階になって許可が下りないことがわかった……という事態を避けるためにも、この事前相談は欠かさず行うことをおすすめします。
②営業許可申請(書類の提出)
続いて、営業許可の申請を行います。
自治体ごとに申請書類のフォーマットが異なるため、該当地域の行政が運営するホームページなどから直接、申請書類をダウンロードするとよいでしょう。
申請の際には以下の一式を揃える必要があります。
営業許可申請書
営業設備の大要・配置図
許可申請手数料
登記事項証明書(法人の場合のみ)
水質検査成績書(貯水槽使用水、井戸水使用の場合のみ)
食品衛生責任者の資格を証明するもの(食品衛生責任者手帳等)
ここで注意していただきたいのは、「食品衛生責任者の資格を証明するもの」という書類です。
食品営業許可は食品が製造・提供される“場所”に対して出されるものであり、実際に営業する際には別途、食品衛生責任者を配置する必要があります。
所定の講習を修了した方や栄養士・調理師を配置するほか、それらの資格を所有しているレンタルスペース関係者の立ち会いでも基準を満たすことが可能です。
・サービス内容によって「営業の種類」を選択する
営業許可申請書には「営業の種類」という項目があり、34業種の中から当てはまるものを選びます。
一般的なレストランやフードイベントであれば「飲食店営業」に該当しますが、提供するものが軽食などに限られる飲食業では、申請のために必要な料金が比較的安い「喫茶店営業」となる場合も。
ただし、喫茶店営業で行えることはかなり限定的です。
食品衛生法施行令35条では、喫茶店営業について「喫茶店、サロンその他設備を設けて酒類以外の飲物又は茶菓を客に飲食させる営業をいう」という形で明記しています。
つまり営業の中心はあくまでもドリンクの提供であり、フードに関しては既製品のお茶菓子やトーストなど簡単に調理できるものに限られるのです。
パスタやオムライスといったフードメニューも提供したいのであれば、喫茶店であっても「飲食店営業」という形で申請を行わなければなりません。
条文に「酒類以外」という記載があることからわかるように、アルコールを提供する場合でも同様です。
他にも「アイスクリーム類製造業」「そうざい製造業」「魚介類販売業」など、業種は細かく分類されているため、自分が提供したいサービスに合わせて選択しましょう。営業形態が複数に及ぶ場合は、それぞれの営業許可を取得する必要があります。
③施設検査の打ち合わせ
スケジュールを確認し、保健所の担当者と施設の検査日程を決定します。検査の際は立ち会いが必要です。
そのため、前もってレンタルスペースのオーナーとも日程調整を済ませておきましょう。
万が一のことを考え、何日か余分にレンタルスペースの日程を押さえておくと安心です。
④施設の確認検査
施設が申請の内容通りになっているかを担当者に確認してもらいます。
もし不適格な事項があった場合には、当該箇所を改善したうえで再検査をしてもらわなければなりません。
⑤営業許可証の交付
施設検査が完了し、問題がなければ営業許可証が交付されます。許可が下りるまではポップストアを営業することはできませんので、交付の日程などを確認し、開店日を決めておきましょう。
設備が問題なくても、営業許可が下りない場合がある
食品衛生法に違反して行政処分を受けたり、食品営業の許可を取り消されたりした人は、その後2年間は営業許可を申請できません。
法人として申請する場合は、役員にこのような経歴がある人がいると営業許可がおりません。
レンタルスペースを変えると、営業許可を再申請しなければならない場合がある
食品営業許可は施設に対して与えられるものなので、前回と異なるレンタルスペースでポップストアを開く場合は、新たに申請する必要があります。 新しいレンタルスペースが食品提供に適した施設かどうか、キッチンや排水・冷蔵設備などをしっかり確認してください。
このような手間を省くためには、食品営業許可を持っているレンタルスペースを利用するという方法もあります。 レンタルキッチンなどの食品専用の施設なら、設備が整っているだけでなく、調理器具・食器の用意も不要です。
販売不可の食品・飲料
生ものは不可: お刺身や生クリームなどの販売は禁止です。ただし、果物や野菜はそのまま販売可能です。
加熱処理できないものは不可: 提供直前に加熱処理できないものの販売は禁止されています。
氷・牛乳は不可: 飲料に氷を入れることや牛乳の取り扱いは禁止です。
ごはん類は不可: おにぎりやカレーライス、チャーハンなどの販売は禁止です。ただし、製造されたものを販売する場合はOKです。
仕込みは不可: 材料を細かく切るなど、屋台内で手の込んだ仕込みを行うことは禁止です。
屋台の制限
販売地域や取り扱う食品、イベントの内容によって屋台にも規約があることがあります。出店者向けのガイドブックや地域の保健所規定を確認してから出店準備を進めましょう。
テントは三方囲い:
屋根付きで側壁を三方向囲んだテントが義務付けられることがあります。
テントのサイズに注意:
イベントによって1ブースあたりの大きさが制限されることがあるため、テントのサイズも注意が必要です。